税理士法人エスペランサ

従業員も喜ぶ! 成功する『飲みニケーション』を開くには

19.10.30
ビジネス【人的資源】
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上司と部下がお酒を飲みに行き、円滑なコミュニケーションを図る『飲みニケーション』という言葉があります。 
今はあまり使われていない言葉ですが、近年は職場内の雰囲気改善や、従業員の意思疎通による生産性の向上、離職率低下などの観点から、見直されつつあります。 
コンプライアンスが厳しい昨今、飲酒の強要や飲み会の場での暴言といったアルコールハラスメントなどが問題視されているなかで、どこまで『飲みニケーション』は有効なのでしょうか。 
今回は、従業員が喜んで参加できる飲み会を開くコツについてご紹介したいと思います。
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『飲みニケーション』を推奨する企業が増加

働き方改革が叫ばれている近年、仕事後に上司が部下を誘って飲みに行くという光景があまり見られなくなりました。
仕事が終われば、お互い関与せずに、個々の時間を大切にするのが当たり前になってきているのです。
実際に、人材派遣会社が行った調査によると、若手社員の半数以上、上司の半数近くが職場の飲み会に行きたくないと答えているそうです。

一方で、職場のコミュニケーションの場として、勤務時間外に行われる飲み会を再評価する気運も高まりつつあります。
飲み会の最大のメリットは、人間関係を良好にすることに尽きるでしょう。
会社としては、従業員同士が良質な関係性を構築することで、仕事がスムーズにいき、生産性の向上につなげることができます。
さらに、お互いの人となりがわかることで職場の雰囲気が良くなる、業務上のコミュニケーションがスムーズになるといったことも期待できるのではないでしょうか。

近年はこのような効果を期待し、会社全体で『飲みニケーション』を推奨する企業も出てきました。
日立ソリューションズでは、普段あまり話す機会のない上司・部下や別部署の人間同士が行う懇談会に、会社が一定額の飲食代を支給する制度を取り入れています。
また、マーケティング支援会社のトライバルメディアハウスでは、一対一のいわゆる『サシ飲み』を条件に、会社が一定額の飲み代を負担するという制度を設けています。

このように、制度などで『飲みニケーション』を後押しする会社がある一方で、まだまだ飲み会を開くことに及び腰な会社も少なくありません。
なぜなら若手社員だけでなく、上司でさえも会社の飲み会には参加したくない傾向が強いからです。
確かに、飲み会のメリットとデメリットを天秤にかけるとむずかしいところかもしれません。

そこで、社員が納得して、参加したくなるような会社主導の飲み会の開き方を提案していきます。


開催の目的を明確にし、時期・回数に留意

まず大事なのは、その飲み会の目的をハッキリとさせることです。

年末の忘年会くらいなら、どこの会社もやっているかもしれませんが、それ以外の日に飲み会を開く際には、明確な理由が必要になってきます。
『会社の上層部や上司が飲みに行きたいから』では若手社員は納得しません。
『部署間の交流会』や『社内の情報交換』など、目的を提示し、参加する意義があるということを示す必要があります。

そして、飲み会を開く際には、終わりの時間を決めておきましょう。

飲み会が苦手な人にとって、終わりの時間がわからないという状況は、苦痛でしかありません。
伊藤忠商事では、2014年、飲み会の際は『1次会のみで午後10時まで』というルールを定めました。
終わる時間が明確に決まっていれば、参加者も気が楽ですし、10時であれば終電を気にする必要もありません。
また、1次会で終わるので、2次会、3次会の費用も抑えられますし、なにより社員が遅くまで飲んで、次の日の勤務に支障をきたすこともありません。
会社にとってもメリットのあるルールといえるでしょう。

さらに、会社主導で飲み会を開く場合には、その時期も重要になります。
会社の繁忙期を避けるのはもちろんですが、社員それぞれ忙しい時期は異なります。
できるだけ全社員の忙しい時期は避けて調整するようにしましょう。

また、開催回数についても、考えましょう。
頻繁に飲み会を開催することで、経費などもかかってしまいます。
社員のプライベートの時間を割くわけですから、できるだけ頻度は少なめにするのが懸命です。
1シーズンに1回、年に4回くらいが妥当なのではないでしょうか。

このほかにも、飲み会を成功させるコツはいくつかあります。
・参加者に好きな料理のジャンル(フレンチ、和食、イタリアンなど)を聞いたうえで、いくつか店の候補を出し、選んでもらう
・飲めない人にも楽しんでもらえるように、スイーツを置いている店にする
・人間関係を考慮して、座席を決める(トラブルがあった人同士は席を離す。普段仕事で接する機会のない人同士を隣り合わせにして、新たな交流をつくる)

飲み会が苦手という人がいることも踏まえて、参加したくなる飲み会を計画してみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2019年10月現在の法令・情報等に基づいています。