税理士法人エスペランサ

「評価するものは評価されている」業績評価には工夫に工夫を重ねよう

13.10.13
ビジネス【人的資源】
dummy
人事評価とか業績評価とかいいますが、
これはフィクションです。

というのは、もともと測れないものを
測ろうとするからです。
車を何台売ったとか、
ヘアカットを何人したとかいうのは、
誰が見てもわかりますが、
世の中、このような仕事はまれなものです。
dummy
個人営業とか、小さい商店などでは、
誰がどのくらいの働きをしているか目で見てわかるでしょう。
大きな組織の一員であるとか、
管理とか開発の仕事など、測りようがありません。

いろいろな仕事のある大企業では、簡単にはわかりません。

しかし組織としては、1つの尺度で、
各従業員の仕事の質や量、
役割や貢献を比較しなければなりません。

そのためには、納得できる仮定をおいて
異質のものを測るしかありません。
これを評価というのです。

このように、評価とは難しいものであるために、
いろいろな工夫が積み重ねられています。

評価の目的は何か、報酬の決定か、昇進か、
配置異動か、人材育成か。絶対評価か相対評価か。
また、人事考課というと、
人事管理者の一方的な評価というイメージですが、
最近は、上司だけでなく、同僚や部下や、
顧客まで加える多面評価というのもあります。

人事考課のフィードバックや、
考課者と被考課者の話し合いも増えてきました。

また、アメリカのホワイトカラーに見られるように、
「業績」や「成果」を重視する評価も
取り入れられるようになってきました。
日米を比較して興味深いのは、
アメリカでは仕事の評価であるのに対して、
日本では人の評価になりがちなことです。

そして「結果よりプロセスが大事」という考えが強いことです。

それゆえ「態度」の評価で勤怠や努力などが買われます。
いずれにしろ評価というフィクションは、
場所や時代により変わるものです。

最後によく言われること。
「評価するものは評価されている」
時代に応じて工夫に工夫を積み重ね、
優れた評価を目指すことです。

次回は「採用」をテーマにお届けいたします。


[プロフィール]
佐野 陽子(さの・ようこ)
慶應義塾大学名誉教授。1972年慶應義塾大学商学部教授。87年から2年間、日本労務学会代表理事。89年から2年間、慶應義塾大学商学部長・大学院商学研究科委員長。96年東京国際大学商学部教授。2001年から4年間、嘉悦大学学長・経営経済学部教授。主な著書:『はじめての人的資源マネジメント』『企業内労働市場』(ともに有斐閣)

企業成長のための人的資源熟考

[記事提供]

(運営:株式会社アックスコンサルティング)