税理士法人エスペランサ

“書いてある”ことと“伝わる”ことは、別物。絞ることこそ、仕事です。

13.10.13
ビジネス【マーケティング】
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以前にご紹介した「無駄な工夫のオンパレード」に加えて、
多くのチラシにはもう一つの「致命的な欠点」が見られます。

それは、
「伝えたい情報をすべて書いてしまっている」
ということです。
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秋のフェスティバルの告知チラシであれば、
フェスティバル名から会場の場所、
日時に加えて、概要、責任者のあいさつ、
そして、11種類行われるイベントの詳細も書かれ、
さらにそれぞれのイベントに関する
問い合わせの連絡先までが、
小さなスペースにぎっしり書き込まれている。

関係者以外、誰も読まないような情報が、
スペースの半分以上を占めている。

こんなに“もったいない”ことは、ありません。
その情報は「書かれてはいる」が、
ほとんど読まれず、「伝わらない」のです。

プロセスは想像できます。

これも入れておいた“方が”いい、あれも伝えた“方が”いい、
と要素が増えて、無理にでも入れ込むことになったのでしょう。

そうやって、
すべての入れておいた“方が”いい要素を盛り込んだばかりに、
肝心のフェスティバル名と会場の場所、
日時が目立たなくなってしまっている。
概要や目玉のイベントが“何か”が、伝わりにくくなっている。

チラシを作る立場を離れて、読む側の立場を想像してみてください。
世の中には、読むべきものが無数にあります。
そんな情報過多の現代において、
私たちの頭は、目は、心は、不必要な情報をできるだけ
シャットアウトしようとする傾向にあります。

そういった視点で、
チラシづくりの最も重要な仕事は何かと考えると、
それは「情報を絞ること」です。
あるいはプライオリティを付けることです。

例えば、
フェスティバル名と会場の場所と日時を第一プライオリティに、
概要と目玉のイベントを第二プライオリティにする。

あとは思い切ってチラシには乗せない。
どうしてもイベントがたくさんあることも伝えたければ、
「他にも10のイベントが!」くらいに留めるようにしましょう。

「書く」ことと「伝わる」ことは別物だと、まず認識してください。
「伝わるか?」という視点で情報を絞っていくだけで、
チラシはうんと効果的になります。

次回は「業界誌に広告を出すことになったら、
まずは“USP”を探してみる」をお届けします。

[プロフィール]
佐藤 達郎(さとう・たつろう)
多摩美術大学教授(広告論 / マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。

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