弁護士法人青森リーガルサービス

ニュースレター2025年12月号【交通事故による鎖骨の骨折について】

25.12.15
ニュースレター
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当事務所では、お付き合いいただいている皆様に向けて、法律関連のニュースや当事務所の近況などを、定期的にニュースレターとしてお送りさせていただいております。
当事務所の近況やご挨拶のほか、少しでもお役に立てる情報をお届けできればと思っております。

交通事故により体を強く打ちつけるなどして、鎖骨を骨折してしまうことがあります。鎖骨の骨折は完治することもありますが、時に一定の後遺障害が残存することもあります。今回のニュースレターでは、交通事故による鎖骨の骨折についてご説明いたします。

1 鎖骨の骨折で後遺障害が認められるケース

 鎖骨の骨折で後遺障害が認められるのは、主に①変形障害、②機能障害、③神経障害の3つです。①変形障害とは、骨折した鎖骨がうまく癒合せず、鎖骨に変形を残す障害です。②機能障害とは、鎖骨の骨折が原因で肩関節がうまく動かず、可動域制限が生じる障害です。③神経障害とは、骨折した箇所の痛みや痺れが残存する障害です。

2 鎖骨の骨折による後遺障害等級認定のポイント

 ①変形障害は、裸になった際に鎖骨の変形を第三者が発見できる状態であることを要し、12級5号の認定となります。レントゲン写真でなければ分からないような場合は、変形障害は認められません。②機能障害は、関節の可動域制限の程度に応じて、8級6号、10級10号、12級6号の認定となります。医師や理学療法士に適切に可動域を測定してもらうことが大切です。③神経障害は、MRIなどの他覚的所見により症状を医学的に証明することができる場合には12級13号、他覚的には証明できないものの医学的な説明が可能な場合には14級9号の認定となります。

3 鎖骨の骨折による後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益

 鎖骨の骨折による後遺障害が認定された場合、①後遺障害慰謝料と②後遺障害逸失利益の請求が可能となります。①後遺障害慰謝料は、等級に応じて標準額があり、裁判基準では8級が830万円、10級が550万円、12級が290万円、14級が110万円となっています。なお、自賠責基準や任意保険基準はこれよりも低い額となりますので、保険会社との交渉の際には注意が必要です。また、②後遺障害逸失利益は、後遺障害の影響により見込まれる将来的な収入の減少のことであり、「基礎収入(年収)×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」により算出されます。労働能力喪失率は、等級に応じて基準値があり、8級が45%、10級が27%、12級が14%、14級が5%です。労働能力喪失期間は、基本的には67歳まで、高齢者の場合は平均余命年数の2分の1、12級や14級の神経障害では10年や5年とされることが多く、年3%の中間利息を控除した係数を用います。

4 弁護士にご相談ください

  弁護士に対応を依頼することにより、適正な後遺障害等級認定に向けた申請手続の対応、適正な賠償金の獲得に向けた保険会社との交渉や裁判などを、専門家である弁護士に一任することができます。交通事故を得意とする当事務所にご相談ください。