ニュースレター2025年3月号【認知症の相続人がいる場合の遺産分割】
当事務所では、お付き合いいただいている皆様に向けて、法律関連のニュースや当事務所の近況などを、定期的にニュースレターとしてお送りさせていただいております。
当事務所の近況やご挨拶のほか、少しでもお役に立てる情報をお届けできればと思っております。
被相続人が亡くなったときに、その相続人の中に認知症の人がいる、というケースがしばしば見られます。今回のニュースレターでは、遺産分割において、認知症の相続人がいる場合の対応について、ご説明いたします。
1 そのままでは遺産分割を成立させることができない
遺産分割は、相続人全員で合意しなければ成立させることができません。そして、合意をする前提として各相続人に判断能力があることが必要とされます。そのため、認知症により判断能力が失われた相続人がいる場合、そのままでは遺産分割を成立させることができません。このような場合の解決方法を以下でご説明いたします。
2 成年後見人の選任申立て
認知症の相続人がいる場合でも、成年後見制度を利用することにより、遺産分割を進めることが可能となります。成年後見制度とは、家庭裁判所に成年後見人の選任の申立てをすることにより、判断能力が失われた人に代わって成年後見人が財産管理や身上監護を行う制度のことを言います。成年後見人は親族などが選任されることが多いですが、遺産分割などの法的な手続が必要となる場合には弁護士などの専門職が選任されるのが通常です。成年後見人の選任後は、成年後見人を交えて遺産分割の話し合いを進めます。なお、成年後見人は、遺産分割の終了後も、その相続人が亡くなるまで、財産管理や身上監護を行うこととなります。
3 特別代理人の選任申立て
遺産分割調停では、認知症の相続人について、特別代理人の選任を申し立てることができます。特別代理人は、認知症の相続人の代理人として、遺産分割調停の手続に対応することとなります。特別代理人は、その遺産分割調停の手続においてのみ、その相続人の代理人となります。遺産分割が完了すれば任務完了となり、その後の財産管理や身上監護を行うものではありません。遺産分割を進めることだけが目的であれば、遺産分割調停と特別代理人選任の申立てを行うことが迅速な解決に繋がることも多いでしょう。
4 弁護士にご相談ください
当事務所では、遺産相続に関するご相談・ご依頼を多数お受けしており、解決実績も豊富にございます。相続問題についてお困りの方はお気軽にご相談ください。