「とにかく採用」からの脱却(1)…補填型求人の悪循環
勤めていた歯科衛生士が、結婚するので突然辞めることになった。 「求人広告を出せばある程度の応募は来るだろう」と高を括っていたら、思った以上に現実は厳しく、退職日は迫る。 でも応募は来ない。 焦ったあまり、とにかく来た応募者を即採用にしたのだが…。 このような経験をお持ちの院長は多いのではないでしょうか。
勤めていた歯科衛生士が、結婚するので突然辞めることになった。 「求人広告を出せばある程度の応募は来るだろう」と高を括っていたら、思った以上に現実は厳しく、退職日は迫る。 でも応募は来ない。 焦ったあまり、とにかく来た応募者を即採用にしたのだが…。 このような経験をお持ちの院長は多いのではないでしょうか。
1998年に歯科の業界に入ったころ、さまざまなことに戸惑いを覚えたことがあります。 その一つが、「最終補綴物」という言葉です。 一見、「終末期の高齢者に最後の入れ歯を…」という話に見えますが、そうではなく、咬み合わせや色などを調整しながら、金属焼付陶材(メタルボンドと言います)による人工歯などをセットする際に使われます。
歯科の業界は一時、斜陽産業だと言われました。「ワーキングプアの歯科医師」「歯医者余り」などの言葉が週刊誌をにぎわせたものです。 これには、経営難を主張することで公的医療保険制度のもとでの歯科診療への評価(対価)を高めるため、一部の指導者層が報道をあおったという側面もあるとの見方もあり、実際には、それほどお金に困っている業界ではないように思われます。
「医科歯科連携」の重要性が叫ばれています。 この背景には、人口構造の高齢化があり、高齢者の多くが何らかの基礎疾患を持っているため、全身状態を確認しなければ抜歯などの処置に危険を伴うからです。
私は介護保険制度施行前から、 歯科訪問診療の同行取材を続けてきました。 ここ10年の間に見られた大きな変化と言えば、 歯や入れ歯、クラウンなどの歯冠修復物などを 削る回転切削器具を使用する頻度が極度に 減ったということです。
「読売新聞」が、歯科医院の約7割で歯科治療用の ハンドピース(歯などを回転切削するための器具)を 患者ごとに滅菌しないで使いまわししている、 と報じたことが大きな騒ぎになっています。 確かに、私も、取材先で昼休みにハンドピースや シリンジ(口腔内に空気を噴射する器具)が 治療椅子のラックに挿してあるまま、 という状態を見かけたことがあります。 これは逐次滅菌されていない何よりの証拠になります。
一部の歯科医師の間では、先進各国の中での 日本の歯科医療費単価の低さが問題になります。 特に差が著しいのが歯根の治療で、 日本が保険診療で約4700円(前歯) ~約8700円(臼歯)なのに対して、 民間保険主体のアメリカは約10万円~20万円、 スウェーデンでも約3万円~6万円となっています。
先日、医院を開業したばかりの歯科医師がこんな話をしてくれました。 開業の4ヵ月前から歯科衛生士の募集を開始したところ、 割とすぐに応募があり、面談をしたら資格は持っているけれど、 衛生士業務はしたくないという変わった希望だったので、 まだ時間もあると思って断ったそうです。
NHKの報道や週刊誌のさまざまな 「インプラントバッシング」によって、 急速に冷え込んだ感のある日本のインプラント。 私が編集長を務める歯科雑誌『アポロニア21』は、 いわゆる「インプラントバブル」の時期から インプラントに対して 慎重な編集方針を採ってきた経緯があります。
医療がサービスかどうかは、 長く議論がされている問題です。 これを考えてみるには、 まず、サービスとは何かを知る必要があります。 現代マーケティングの第一人者である 米国のフィリップ・コトラーはサービスを 「一方が他方に対して提供する行為やパフォーマンスで、 本質的に無形で何の所有権ももたらさないものをいう」と定義し、 その根本に顧客第一主義をすえています。