司法書士法人 宮田総合法務事務所

個人経営が特に狙われる!? 歯科医院の『侵入窃盗』対策

24.04.02
業種別【歯科医業】
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個人経営の歯科医院は窃盗被害に遭う可能性が高いといわれています。
以前も窃盗グループによる歯科医院を狙った窃盗がニュースになりました。
また、窃盗犯が何度も同じ歯科医院に侵入するというケースも増えています。
こうした窃盗被害を防ぐために、歯科医院はどのような防犯対策を講じればよいのでしょうか。
歯科医院が窃盗に入られないための対策について、考えていきます。
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なぜ歯科医院は窃盗犯に狙われるのか?

2023年4月14日から17日にかけて、東京都世田谷区を中心に、計5件の窃盗被害が相次ぎました。
被害に遭ったのはいずれも個人経営の歯科医院で、報道によれば医療機器や100万円を超える現金が盗まれるケースもあったとのことです。

窃盗とは、万引きやスリ、ひったくりなど、故意に他人の財産を盗む犯罪行為を指します。
その窃盗のなかでも、住宅や事務所に侵入して金品を盗む行為を『侵入窃盗』と呼びます。
侵入窃盗は犯人の手口ごとに大別でき、留守中に住宅へ侵入して金品を盗むことを『空き巣』、住民が寝ている間に住宅へ侵入して金品を盗むことを『忍び込み』、閉店中の店に侵入して金品を盗むことを『出店荒し』、会社の事務所などに侵入して金品を盗むことを『事務所荒し』といいます。

住宅を対象とした侵入窃盗の認知件数は、2003年の約19万件をピークに減り続けており、2022年は1万5,692件でした。
それでも、まだ1日当たり約43件の侵入窃盗が発生しており、安心できません。
特に、個人経営の歯科医院などはかねてから侵入窃盗のターゲットになることが多く、何かしらの対策を講じる必要があります。

個人経営の歯科医院が窃盗犯に狙われやすいのには、いくつかの理由があります。
まず、第一に個人経営の医院はスタッフの数が限られ、閉院後の夜間は無人になることがあげられます。
入院病床のある大きな総合病院などは、医療スタッフが24時間常駐し、警備員が配置されているところがほとんどなので、標的になりづらいという側面があります。

また、歯科医院は保険適用外の自由診療があるため、多額の現金を取り扱う必要があり、レジや金庫に残っている売上金やお釣りなどがあるというのも、窃盗犯に狙われやすい理由です。
院内に置いてある高額な医療機器やパソコンなども、換金するために持ち去られてしまう可能性が高いでしょう。

基本の防犯対策で狙われない医院にする

侵入窃盗の対策として警備会社と契約することにも効果はありますが、過去には警備システムが作動したものの、警備員が到着する前に金品を盗まれ、窃盗犯に逃げられてしまうというケースもありました。
また、近年は単独ではなく集団で行動する窃盗グループによる犯行も多く、より巧妙かつ短時間で行われる傾向にあります。

侵入に時間がかかる補助錠の取り付けや、窃盗犯が嫌がる防犯カメラ、センサー付きライトの設置など、まずは基本的な防犯対策を講じつつ、金品の管理をしっかりと行うことが重要です。
その日の売上を夜間金庫に入れたり、院長が自宅に持ち帰ったりすることで被害を最小限に抑えることができます。

また、患者情報が入ったパソコンが盗まれてしまうと、個人情報の漏洩やデータの紛失といった二次的な被害も出る可能性があります。
パソコンは換金しやすいため、窃盗団に狙われやすい物の一つです。
ノートパソコンであれば毎日自宅に持ち帰ったり、厳重な保管場所を用意したりするなど、何かしらの対策を講じておきましょう。

さらに注意したいのは、医院にまつわる情報をできるだけ外部に漏らさないことです。
院内の売上から金庫の場所や医療機器の値段まで、窃盗グループはさまざまなルートから、その地域の医院の情報を仕入れてターゲットを選定します。
たとえば「あの医院は毎月1,000万円の売上がある」といった情報が知れ渡っていれば、当然、窃盗犯に狙われやすくなってしまいます。
情報漏洩を防ぐことも、防犯対策の一つだと意識しなければいけません。
場合によっては、内部スタッフが患者や身近な人々との世間話のなかで意図せずに情報を漏らしてしまうこともあるため、金庫の場所や医院で取り扱う金額などは、院長などの限られた人物だけが把握しておくようにしましょう。

自院が窃盗の被害に遭わないようにするために、何よりも大切なのは窃盗犯が狙いにくい状況にしておくことです。
監視カメラやセンサー付きライトの導入などのインフラ整備から、現金やパソコンなどの貴重品の取り扱いルール、情報漏洩対策など、できるところから進めてみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2024年4月現在の法令・情報等に基づいています。