家族信託の信託財産にできる財産・できない財産とは
家族信託の信託財産として、高齢の親御さんが家族・親族(子や孫、甥姪など)に管理・処分を任せることができる財産とできない財産があります。
本稿では、家族信託の信託財産でできる財産、できない財産について、簡潔にご紹介します。
本稿では、家族信託の信託財産でできる財産、できない財産について、簡潔にご紹介します。
★家族信託の信託財産にできる財産★
信託財産として管理・処分を任せられる財産は、基本的に特別な制限は設けられていません。信託財産にできる典型的な財産は、下記の通りです。
◎現金
◎有価証券(未上場株式、上場株式、投資信託、国債など)
◎不動産(土地・建物・区分所有建物、借地権付建物など)
◎動産(自動車、貴金属、ペットなど)
◎知的財産権(著作権、特許権など)
◎債権(売掛債権、貸付債権など)
上記のように金銭的に価値がある財産であれば、原則としてどんなものでも信託財産の対象にできます。
ただし、有価証券のうち、上場株式・投資信託・国債などについては、預けている証券会社が家族信託に対応できるかどうかにかかっておりますので、利用の証券会社に照会をし、対応が難しいようでしたら、家族信託に対応できる証券会社に移管するなどの検討が必要になりますので、要注意です。
★家族信託の信託財産にできない財産★
法律上の制約などがあり、信託財産にできない財産も存在するので注意が必要になります。信託財産にできない典型的な財産は、下記の通りです。
▲マイナスの財産(負債)
▲農地(田・畑)
▲預金(預金債権)
▲年金受給権
信託財産は、原則としてプラスの財産に限られるため、負債単体を信託による管理対象の財産にできません。
農地に関しては、「農地法」という法律の制約を受けるので、農地に対して信託の効力を及ぼすためには、農地法で定められた農業委員会の許可又は届出の手続きを経る必要があります。
預金債権については、法律上、「譲渡禁止特約付債権」となりますので、信託契約で定めたとしても、預金として受託者の管理下に置くことはできません。
年金受給権に関しては、受給者本人だけが持つ権利(本人しか行使できず、他人への譲渡や相続が不可能な権利、いわゆる“一身専属”)であるため、信託の受託者が代わりに受け取ることはできません。
以上、今回は家族信託の信託財産にできる財産・できない財産を一部ピックアップして紹介しました。
信託できない財産であっても、その他の対処法を検討することで、問題を解決できる可能性が高いです。お困りの際は一度当事務所にご相談ください。