不動産を「共有相続」するメリット・リスクとは?
不動産を相続する場合、その不動産を複数の相続人の「共有名義」にすることを検討するケースもあるでしょう。
そこで今回は、相続した不動産を複数の相続人で“共有相続”にするメリット・リスクをご紹介します。
そこで今回は、相続した不動産を複数の相続人で“共有相続”にするメリット・リスクをご紹介します。
≪相続した不動産を 「共有名義」にするメリット≫
●共有相続のメリット①:公平感・納得感のある遺産分割がしやすい
遺産を公平に分けやすいことは、相続した不動産を 「共有名義」にするメリットの一つです。例えば、相続財産に金融資産が少なく、不動産が一つしかないケースでは、複数の相続人のうち誰かが不動産を“単独相続”すると、他の相続人が相続する代償資産が少なくなってしまうため、不公平感が生じて遺産分割協議が難航する場合もあるでしょう。
相続した不動産を共有名義にすることで、遺産を公平に分けることができるので、遺産分割がスムーズに進む可能性があります。
●共有相続のメリット②:収益不動産の場合は収入も平等に分けられる
収益不動産の場合は賃料収入も平等に分けられることも、相続した不動産を 「共有名義」にするメリットの一つです。収益不動産の収入は、原則としてその不動産の共有者がその保有持分に応じて取得することになります。
収益不動産を共有名義にすることで、相続する不動産の価値だけではなく、将来にわたり得られる賃料収入も平等に分けることができるメリットがあります。
≪相続した不動産を 「共有名義」にするリスク・デメリット≫
▼共有相続のリスク①:共有者に相続が発生する度に権利関係が複雑化するリスク
相続した不動産を 「共有名義」にすることで、世代交代の際に権利関係が複雑化するリスクがあります。仮に長男と次男が相続した不動産を共有名義とした場合、長男や次男が亡くなると、故人の妻や子が新たにその不動産の共有持分を取得することになります。
そして、その妻や子が亡くなると、さらにその相続人がその不動産の共有持分を取得することになるため、持分が細分化され共有者はどんどん増えてしまうこともあり得ます。
共有者が増えることで、その不動産の権利関係が複雑化してしまうリスクがあります。
また、共有者間の確執や感情のもつれから、不動産の処分に関する書類に署名押印することを拒む(協力を拒否する)ような事態が起きれば、やはり“共有不動産の塩漬け”リスクが顕在化します。
例えば、共有者の一人が認知症や大病を発症し判断能力が著しく低下してしまうと、不動産の処分に関する書類への署名押印が有効にできなくなります。この場合は、その共有者に成年後見人を就けなければなりませんが、共有不動産の処分のために後見人を就けることについてその家族の理解・納得が得られなければ、不動産の処分がスムーズにできなくなります。
また、共有者の一人が行方不明で連絡が取れない場合も困った事態になります。
さらに、共有者の一人に相続が発生し、その共有持分を含めた遺産分割が難航・紛糾して、共有持分の相続人が決まらない場合も、実質的に不動産の処分ができないことになります。
不動産を共有相続すると、その後に共有者の一人に生じた事情により“不動産の塩漬け”リスクが高まることは、しっかりと理解しておくことが必要です。
★なお、上記の「共有相続のメリット①②」を活かしながら、「共有相続のリスク①②③」を回避する方策として、「家族信託」を活用した財産管理と承継の秘策がありますが、「家族信託」については、また別の記事にてご紹介します。
以上、今回は相続した不動産を 「共有名義」にするメリット・リスクをご紹介しました。
当事務所は、東京都内はもちろん、千葉・埼玉・神奈川など東京近郊に限らず全国エリアで対応しております。
相続・遺産整理手続きや遺産分割協議に関してお悩みの方・お困りの方がいらっしゃいましたら、また、相続登記や家族信託等に関するお手続きをご検討中の方がいらっしゃいましたら、お気軽に司法書士・行政書士が多数在籍する【宮田総合法務事務所】までご相談ください。
そして、その妻や子が亡くなると、さらにその相続人がその不動産の共有持分を取得することになるため、持分が細分化され共有者はどんどん増えてしまうこともあり得ます。
共有者が増えることで、その不動産の権利関係が複雑化してしまうリスクがあります。
▼共有相続のリスク②:共有者全員が財産処分方針を統一しなければならない
相続した不動産を 「共有名義」にすると、その不動産の処分(売却や買換え、建替えなど)に関する決定は共有者全員の合意でおこなわなければなりません。そのため、相続した不動産を共有名義にする場合は、他の共有者と連絡を取り合い、不動産の管理・処分方針を調整・統一する必要があります。もし共有者間で、不動産を売る売らない、建物を建替える建替えない等で意見が割れた場合、その不動産については何もできなくなり、いわゆる“共有不動産の塩漬け”の結果を招くリスクがあります。また、共有者間の確執や感情のもつれから、不動産の処分に関する書類に署名押印することを拒む(協力を拒否する)ような事態が起きれば、やはり“共有不動産の塩漬け”リスクが顕在化します。
▼共有相続のリスク③:共有者の一人に生じた事情で不動産が処分できなくなる
前述のとおり、不動産を処分するには共有者全員の同意・協力が必須となりますので、共有者の一人でも協力が得られない状況であれば、やはり“共有不動産の塩漬け”が出てきます。例えば、共有者の一人が認知症や大病を発症し判断能力が著しく低下してしまうと、不動産の処分に関する書類への署名押印が有効にできなくなります。この場合は、その共有者に成年後見人を就けなければなりませんが、共有不動産の処分のために後見人を就けることについてその家族の理解・納得が得られなければ、不動産の処分がスムーズにできなくなります。
また、共有者の一人が行方不明で連絡が取れない場合も困った事態になります。
さらに、共有者の一人に相続が発生し、その共有持分を含めた遺産分割が難航・紛糾して、共有持分の相続人が決まらない場合も、実質的に不動産の処分ができないことになります。
不動産を共有相続すると、その後に共有者の一人に生じた事情により“不動産の塩漬け”リスクが高まることは、しっかりと理解しておくことが必要です。
★なお、上記の「共有相続のメリット①②」を活かしながら、「共有相続のリスク①②③」を回避する方策として、「家族信託」を活用した財産管理と承継の秘策がありますが、「家族信託」については、また別の記事にてご紹介します。
以上、今回は相続した不動産を 「共有名義」にするメリット・リスクをご紹介しました。
当事務所は、東京都内はもちろん、千葉・埼玉・神奈川など東京近郊に限らず全国エリアで対応しております。
相続・遺産整理手続きや遺産分割協議に関してお悩みの方・お困りの方がいらっしゃいましたら、また、相続登記や家族信託等に関するお手続きをご検討中の方がいらっしゃいましたら、お気軽に司法書士・行政書士が多数在籍する【宮田総合法務事務所】までご相談ください。