「家族信託」スタート時にまず受託者がすべきこととは?
「家族信託」の契約を締結・発効した後、まず何からすべきか、よく分からず困っている受託者の方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、「家族信託」を開始後にまず受託者がすべきことの一部をご紹介します。
そこで今回は、「家族信託」を開始後にまず受託者がすべきことの一部をご紹介します。
【家族信託の開始後にまず受託者がするべきこと】
◆その1:金銭管理用の口座作成とお金の移動
高齢の親を委託者、子を受託者とする家族信託では、“預金凍結対策”として親の老後資金などを預かるケースは多いです。預かる金銭の額は、100万円程度から数千万円まで資産規模は様々ですが、長期にわたる金銭管理になるので、「信託口口座」(例えば「山田父郎 受託者 山田子太郎 信託口」というような名義の口座)を作成して、管理するのがベストです。
ただし、「信託口口座」を作成してくれる金融機関もまだまだ少ないので、便宜上「信託専用口座」(例えば、受託者の「山田子太郎」名義の個人口座)で分別管理を徹底するケースもあります。
いずれにしましても、信託契約締結後、当該契約書に記載した現金の額を「信託口口座」又は「信託専用口座」に速やかに移動することが重要です。
なお、委託者から預かる金銭は、普段の生活費として使っている以外の現預金(いわゆる非常用資金)だけではなく、賃貸不動産も信託財産に入れる場合は賃貸経営における敷金や修繕積立金なども合わせて預かることで、親の老後や賃貸経営をより安心できるものにすることができます。
◆その2:火災保険会社に報告
信託財産となる建物には、火災保険や地震保険に加入していることが多いです。家族信託を実行すると、当該建物登記簿の甲区(所有者欄)には、受託者の住所・氏名が記載され(この手続きを「信託登記」といいます)、受託者は、以後形式的な所有者として扱われます。
そこで、信託登記が完了した後の登記事項証明書を保険会社又は保険代理店に提示し、保険対象建物の名義人が変わった旨を報告する必要があります。
名義人が変更となったことを受け、多くの保険会社では火災保険等の契約者を受託者に変更する手続きを求めてきます。
この報告や手続きを忘れてしまうと、保険事故が発生した場合に保険金を正しく受け取れない可能性があるので注意したいです。
◆その3:振込先変更の通知
家族信託によって賃貸不動産を信託財産に入れた場合、以後の賃料は受託者が受領・管理することになります。したがいまして、賃料の振込みは、受託者が管理する「信託口口座」又は「信託専用口座」に変更する旨を各賃借人又は管理会社に通知することも忘れてはなりません。
以上、家族信託の契約がスタートした直後に、まず受託者がするべきことの一部を紹介しました。
上記3つのことは家族信託の実務としては基礎的な知識ですが、家族信託のコンサルティングをする専門家の中には、これらの実務を正確に把握していなかったり、きちんとお客様にご案内していない方もいるようです。
家族信託の実務に精通した専門家に相談することは、安心の老後と円満円滑な資産承継を実現するためには、1番重要な要素の一つと言えるでしょう。
弊所は10数年前から「家族信託」のコンサルティング業務に力を入れており、実際に家族信託の実行までお手伝いしたご家族は全国で500家族を超えております。
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