司法書士法人 宮田総合法務事務所

私道部分の相続登記が漏れていたときの対応策とは?

22.08.02
暮らし・人生にお役に立つ情報
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親に相続が発生した後、被相続人所有の自宅建物やその底地の相続登記を済ませた方でも、「私道部分」(家の建つ土地に隣接した土地で、道路として利用されている私有地)について、相続登記ができていない方が少なくありません。

今回は、私道部分の相続登記が漏れていたときの対応策についてご紹介します。

私道部分は、近隣の方と共有で持ち合っているケースも多いですし、固定資産税も課税されていない場合も多いので(※)、故人が私道を所有していたことを家族も認識していないケースがあります。
つまり、遺言書の中に記載がされていないことや、遺産分割協議の対象から漏れていることも少なくありません。

相続税の申告を税理士さんに依頼した場合でも、固定資産税課税明細書や名寄帳にも記載されない土地であれば、相続税の計算上にも影響がないので、別途調査しない限り発覚しないこともあります。

そういうケースでは、家を建替えたり不動産を売却する段になって初めて発覚して困窮する事態やそれが原因で近隣とトラブルに発展してしまう事態も起こり得ます。


(※)「私道」については、個人所有が所有する土地でありながら、不特定多数の方が通行する「公衆用道路」としての利用実態について各自治体が認めれば、固定資産税・都市計画税・不動産取得税が非課税になります。
「公衆用道路」とは、一般公衆の交通のために利用されている道路ということです。公衆用道路であるかどうかは、固定資産税課税明細書の現況課税地目が『公衆用道路』となっているかどうかで分かります。


【私道部分の相続登記が漏れていることで考えられるリスク】

(1) 私道部分と本地(売買対象のメインの土地)を一括して売却しなければならず、私道部分の相続登記が完了するまで売却手続きが延期となるリスク。
(2) 売却予定が無いからという理由で放置しておく場合、相続発生時から年月が経過すると、利害関係人が増えて相続登記をするのがより困難になるリスク。またそれに伴い相続登記のコストも増大するリスク。

上記(2)については、たとえば、80代の独身男性Aさんが亡くなった場合、相続人は、Aさんの兄弟姉妹や兄弟姉妹が亡くなっているときはその子(甥姪)となります。その後さらにAさんの弟Bさんが亡くなると、相続登記が漏れた土地を相続する権利(Aさんの相続権)は、新たに亡くなったBさんの配偶者や子(Aさんからみた甥・姪)がその権利を引き継ぐことになります。つまり、年月が経てば経つほど更なる相続が発生し利害関係者が増えるリスクがあります。



以上を踏まえまして、私道部分の相続登記が漏れていたときの対応策について、詳しくご紹介します。
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