宮田総合法務事務所

老親の収益物件管理における「サブリース」と「家族信託」の比較

22.05.10
暮らし・人生にお役に立つ情報
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高齢の親の健康状態(認知症に限らず、大病や事故等による判断能力低下も含む)に左右されない、老親の財産を管理・処分する仕組みとして、「家族信託」が最良・最有力の手段として注目をされて久しいです。

しかし、老親の財産管理、特に収益不動産を管理していく方策としては、家族信託以外の選択肢も存在します。

そこで今回は、老親が所有する収益不動産を管理する場合に活用し得る「サブリース(一括借上げ)契約」について、ご紹介したいと思います。
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1.そもそも「サブリース(一括借上げ)契約」ってなに?



「サブリース (sublease)」 とは、もともと「また貸し」・「転貸」の意味ですが、不動産業界においては、収益不動産の転貸を目的とした一括借上げの仕組みのことを指します。

つまり、不動産の所有者(オーナー)から転貸人が土地や賃貸用建物をまとめて借り上げ、それを個々の賃借人(正確には転借人といいますが、本コラムでは敢えて分かりやすく「賃借人」と呼ぶことにします)に対して転貸することで、実質的に不動産オーナーに代わって転貸人が賃貸経営を担う仕組みです。

不動産オーナーは、直接的に賃貸経営に携わらなくても、転貸人が実質的に賃貸経営を担いますので、認知症発症リスクのある高齢の不動産オーナーでも、あるいは賃貸経営に詳しくない方でも、安心して賃貸経営をすることができる仕組みと言えます。

その上、一括借上げにより毎月確実に定額の一括借上げ賃料が入ってきますので(これを「家賃保証」という言い方をしたりします)、空室による家賃収入の減額リスクを回避する効果もあります。

以上のように、「サブリース」は、賃貸経営に関する煩わしい手続きをせずに安定的な賃貸経営ができる方策となり得ますので、高齢の不動産オーナーや“サラリーマン大家さん”が副業として賃貸経営をする場合などに、プロの不動産会社(サブリース業者)に貸す仕組みとしても広く利用されています。



2.家族内でサブリースをすることもできる



前述のとおり、「サブリース」というと一般的には、不動産会社(サブリース業者)に貸すことを想定しますが、老親の認知症対策として考える場合は、必ずしも外部の不動産業者に一括賃貸する必要はありません。

つまり、家族が立ち上げた「会社」(以下、「サブリース法人」と呼びます)や老親の子に対して一括賃貸することも問題ありません(転貸人は法人である必要はありません)。

むしろ、サブリース法人や子を転貸人として一括賃貸する方策は大いに活用の余地があります。

そこで、次の第3章では、老親の財産管理における認知症対策という観点に絞って、サブリースのメリットをご説明します。
また、メリットの裏側にあります注意すべき点・リスクなどについては、第4章でご紹介します。


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