司法書士法人 宮田総合法務事務所

「相続放棄」についての誤解

14.11.06
暮らし・人生にお役に立つ情報
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個人の方から遺産相続に関して、「相続放棄したい」「相続放棄させたい」というようなご相談を承ります。

この場合の「相続放棄」は、法律用語としての相続放棄ではない使われ方をするケースも多いです。

つまり、一般の方が普通に考える相続放棄と法律的な意味での相続放棄の2つの使われ方が混在しているので、ここで整理をしたいと思います。

個人の方から遺産相続に関して、「相続放棄したい」「相続放棄させたい」というようなご相談を承ります。
この場合の「相続放棄」は、法律用語としての相続放棄ではない使われ方をするケースも多いです。
つまり、一般の方が普通に考える相続放棄と法律的な意味での相続放棄の2つの使われ方が混在しているので、ここで整理をしたいと思います。


◆法律用語としての「相続放棄」◆

民法第915条は、「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。」と規定しています。
法律上の「相続放棄」は(詳細な説明はこちら)、家庭裁判所に相続放棄の申述申立て(手続きの詳細はこちら)をすることで、相続人としての地位を喪失し、当初から相続人でなかったことになり、相続人としての権利も義務も発生しないという厳格な法的手続きです。


◆一般的な使われ方の「相続放棄」◆

一方、一般の方が「相続放棄」という場合、「遺産の取り分ゼロ」の意味で使われることが多々あります。
この場合、家庭裁判所に手続きを踏むような手間はかかりません。
相続人全員で行う遺産分割協議において、取得分がゼロである旨(一般的には、積極的に取り分ゼロであることは記載しないで、その方の取得する財産の記載をしないようにします)を記載することで、実質的な遺産を取得する権利を放棄する形です。
この場合に気を付けたいのが、遺産分割協議成立後、新たな遺産が発覚した場合に備え、「本協議書に記載のない遺産については、すべて●●が相続するものとする」という旨の条項を入れておくのが良いでしょう。
そうすることで、今回の分割協議のみで遺産を取得しないこと(取得させないこと)を確定できることになります。