「遺言」と家族信託の「契約信託」「遺言信託」 3者の違いと使い時を解説<その1>
家族信託には「契約信託」と「遺言信託」の2種類あります。「遺言」と合わせ、3者の違いや使い方について、宮田が執筆担当する朝日新聞『相続会議』のコラムで解説します。
家族信託には「契約信託」と「遺言信託」の2種類あり
「家族信託」と「遺言」の違いについて説明するには、家族信託を2つの形態に分けて比較する必要があります。
家族信託の2つの形態一つは、財産を持つ親(委託者)と管理を担う子(受託者)との間で信託契約を交わす、いわゆる「契約信託」です。これは、老親の認知症対策として生前の財産管理を主たる目的として実行するもので、家族信託の最も典型的な活用形態です。
家族信託の二つ目は、「遺言」の中で家族信託を設定する「遺言信託」という形態です(これは信託法3条2号を根拠とする法律用語としてのもので、信託銀行が提供するいわゆる“遺言信託サービス”とは全く異なるものです)。相続発生により遺言が発効するので、それと同時に信託も発効し、遺産の受取人(例えば認知症発症リスクのある高齢の配偶者や障害を持つ子、浪費家の子)のために財産管理を担うことを主たる目的とします。