宮田総合法務事務所

家族信託の「受益者」を変更できる? 事業承継にも役立つ制度とは

20.08.29
相続会議(朝日新聞)
家族信託では、信託された財産の恩恵を受ける受益者を変更できる仕組みがあります。それまでの受益者の同意がなくとも変更が可能。この制度は、会社経営や家業の不動産賃貸業における事業承継の場合において最も活用できます。宮田が執筆担当する朝日新聞『相続会議』のコラムで解説します。

受益者を誰にするか、決める権限

信託契約に基づき、信託財産から経済的な利益を受け取る権利のことを「信託受益権」といい、その権利を持つ者を「受益者」といいます。

そして、信託契約期間中にこの受益者を変更・追加する権限を信託契約書の中で受益者以外の者に与えておくことができ、この権限を持つ者を「受益者変更権者」・「受益者指定権者」(以下、「受益者変更権者等」と表記)といいます(信託法89条)。

この受益者指定権者等は、受託者でも第三者でもなることができます。顧問弁護士や顧問税理士等、外部の客観的な立場の者を受益者指定権者等に指定して、その権限を託しておくことも良策となり得ます。