家族信託に必要な支出は経費計上して負担軽減できるのか?
不動産賃貸経営に家族信託を活用している場合、登記費用や受託者への報酬など支出を経費として計上できるのか、という問題があります。この点について、その線引きやコストを少しでも減らす方法を、宮田が執筆担当する朝日新聞『相続会議』のコラムで解説します。
目的が明確なら経費にできる可能性大
家族信託の導入に関する費用(専門家へのコンサルティング報酬、信託契約公正証書を作成するための公証役場の手数料、信託登記に関する登記費用など)や、受託者や信託監督人等への報酬(設計次第では信託契約期間中に発生)は、不動産賃貸業の経費に計上できるのかという問題があります。
信託財産が賃貸不動産とそれに伴う敷金・修繕積立金相当の金銭のみであり、家族信託導入の目的が「賃貸経営の長期的安定化」のための認知症対策である場合には、家族信託の導入費用や受託者への信託報酬などは、家業たる不動産賃貸業を円滑に継続するために必要な経費として全額損金処理できる可能性は高いと考えます。
不動産以外にも財産を広く信託する場合は難しい
一方で、自宅や老後資金たる金銭など賃貸不動産以外の財産も含めて信託財産に入れ、認知症対策などを意図して家族信託を実行する場合は、賃貸経営の長期安定化だけが家族信託を実行する趣旨ではなくなります。