宮田総合法務事務所

家族信託の税務で注意したい「損益通算禁止」とは

20.08.02
相続会議(朝日新聞)
家族信託の税務について、「損益通算禁止」という決まりがあります。これは過去に流行した「節税策」への対策として導入されたといいます。宮田が執筆担当する『相続会議』のコラムで詳しく解説します。

不動産の損失を計算上なかったことに

家族信託における税務ポイントの一つに「損益通算禁止」が挙げられます。これは、「信託財産である不動産から生じた損失はなかったものとみなす」という税務上の取扱いです。

信託財産から生じた損失は、原則として損金になりますが、その損失が不動産所得に関するものである場合、2006年(平成18年)以後は、不動産所得の計算上なかったものとされるのです(租税特別措置法41の4の2①)。

信託不動産の損失はそれ以外の所得と通算できない

したがって、1年間(1/1~12/31)において信託財産から生じた不動産所得に係る損失は、当該信託財産以外からの所得と相殺することはできませんし、また当該損失は「なかったもの」とみなされる以上、翌年以降に繰り越すこともできないことになります。