宮田総合法務事務所

家族信託の契約が終わったら「残った財産」は誰のもの? 遺言代用機能を解説

20.07.12
相続会議(朝日新聞)
家族信託の契約が終わると、残った財産、つまり「残余財産」の受取人を指定することができます。これは、遺言による遺産分配と似た機能と言うことができます。宮田が執筆担当する『相続会議』のコラムで詳しく解説します。

「残余財産」は遺言と同じように受取人を指定できる

信託契約の終了時に残っていた信託財産を「信託の残余財産」といい、この財産は信託契約の終了により通常の所有権財産に戻ります。そして、その所有権財産の所有者となる受取人のことを「残余財産の帰属権利者」といいます。

通常の場合、信託契約の中で残余財産の帰属権利者を定めることになります。信託契約が終了した後のことですから、個々の残余財産(例えば、自宅やアパート、駐車場、別荘、山林、現金など)について、これは長男に、あれは長女に…というような財産ごとに自由に受取人を指定することができます。

つまり、信託財産に関して遺言書を作るのと同じ意味・効果を持たせることになります(これを信託の「遺言代用機能」といいます)。なお、遺言と同様、不測の事態により信託契約の終了前に帰属権利者が先に死亡してしまう場合に備え、予備的な帰属権利者も指定しておくことが多いです。