宮田総合法務事務所

家族信託の「信託監督人」の任務開始や完了のタイミングはいつ?

20.06.24
相続会議(朝日新聞)
家族信託の運営管理をチェックする「信託監督人」がその任務を始め、役割を完了するのは、どんなタイミングや状況だとよいのでしょうか。宮田が執筆担当する『相続会議』のコラムで詳しく解説します。

起動のタイミングはケースごとに決められる

家族信託で「信託監督人」を置く設計を考えるときには、いつからその監督業務を開始するかということも検討する必要があります。
一般的には、信託契約締結時(信託契約の効力発生時)からスタートするケースが多いですが、受益者たる親やそれを支える家族の要望により、さまざまなバリエーションも考えられます。

「親が認知症になったら業務開始」はトラブルのもと

その一例として、受益者たる親が受託者の業務をチェックすることが難しい健康状態になったら、法律専門職が信託監督人として関与してほしいというケースが挙げられます。

つまり、受益者たる親が元気なうちは、受益者自ら受託者に対して要望を伝え、金銭を管理している信託口座の通帳を自らチェックすることができるので、すぐには信託監督人に関与してもらう必要性は感じていないが、認知症等で判断能力や記憶力が低下してきたら、受益者に代わって受託者の財産管理状況を見守ってほしいという場合です。

ただし、信託監督人業務のスタート時として、「受益者が認知症と診断されたとき」というような始期が曖昧、つまり就任時期が法的に不明確となる定めは、置くべきではありません。
そこは、受益者家族と信託監督人との信頼関係に基づき、信託監督人が必要だと判断して「就任を承諾したとき」というような定めの方が良いでしょう。