家族信託の受託者業務をチェックする「信託監督人」とは? 【要点を解説】
家族信託では、受益者たる認知症高齢者、未成年、障害者に代わり、受託者の財産管理業務をチェックする信託監督人を置く場合があります。
監督人とはどんな役割があり、誰を選ぶべきなのか、宮田が執筆担当する『相続会議』のコラムで詳しく解説します。
監督人とはどんな役割があり、誰を選ぶべきなのか、宮田が執筆担当する『相続会議』のコラムで詳しく解説します。
受益者が受託者をチェックできない場合に備えるなら監督人の検討を
家族信託は、高齢の親の財産管理や生活支援を目的とすることが多いですが、それ以外にも、未成年者や障害者などを受益者として、本人を支える仕組みとして利用されるケースも少なくありません。
このような場合、受益者自身が受託者の財産管理業務をしっかりチェック出来ないことが想定されます。そこで、受益者に代わり、受託者が信託目的に従って適正に業務を遂行しているかを監視・監督する「信託監督人」を設置するという選択肢があります。
長期にわたる受託者の財産管理を誰からも制約・監視を受けない状態にしておくのは、お勧めできません。家庭裁判所等から定期的にチェックを受ける成年後見人でさえ、横領等の不祥事が発生しているという現実を見据え、受託者の業務をチェックする体制について、家族内できちんと話し合うことが必要です。
その結果、家族会議を定期的に開き、たとえば、受託者たる長男が、受益者である父親だけではなく、母親にも、また受託者になっていない他の兄弟(二男や長女など)にも、自らの財産管理の状況(財産目録や毎月の収支状況等)を報告する場を設けることはお勧めです。
そのような定期報告の仕組みが作れる家族であれば信託監督人の設置はあまり必要ありませんが、家族構成やその関係性において、家族による情報共有・定期的チェックができないようなケースでは、信託監督人の設置について検討するのもお勧めです。