「遺産整理」は弁護士・信託銀行に頼むな!
遺産整理は、弁護士・信託銀行に頼んではいけない。
これは、弁護士・信託銀行に対する批判や悪口ではありません。
「真実」です。
弁護士や信託銀行員自身も、特別な事情がない限り、自分の家族・親族・親友の相続・遺産整理手続きを弁護士や信託銀行に頼むことはしないでしょう。
これは、弁護士・信託銀行に対する批判や悪口ではありません。
「真実」です。
弁護士や信託銀行員自身も、特別な事情がない限り、自分の家族・親族・親友の相続・遺産整理手続きを弁護士や信託銀行に頼むことはしないでしょう。
●弁護士に頼むべきケース・そうでないケースとは
もちろん、相続に関して、弁護士に相談すべきケースもあります。
例えば、既に発生した相続に関し、法定相続人の間で遺産の分け方等について争いが顕在化している(遺産争いが勃発している又は遺産争いが目前に迫っている)ケースでは、初動から相続に詳しい弁護士に相談をして、どう戦うかについて備えることは得策になり得ます。
しかし、“喧嘩”が始まっていない場合、あるいはそもそも“喧嘩”が始まるかどうか分からない場合に、少なくとも最初から弁護士に依頼をするということは絶対に避けるべきです。
様々な経緯により法定相続人間の関係性が疎遠・微妙であるケースや再婚・再々婚などを経て複雑な相続関係が生じているケースでは、遺産を分ける手続きにおいて、相手方の出方・意向が分からないという状況は少なくありません。
そのような状況下で、つまり、相手方が協力的なのか、それとも快くない感情を持っているのか、まだ分からない段階で弁護士を代理人として立てれば、相手方には強烈なインパクトをもって「宣戦布告」ともとられかねません。そこまで悪いイメージを持たれないまでも、「弁護士に依頼するということは、法律的に難しい問題が絡んでいるのではないか」、「高い弁護士報酬を払う価値のある遺産の規模なのではないか」との印象を持たれ、相手側も弁護士に相談しなければと危機感をもって身構えることは必至であると思われます。
相手の出方・意向・現在置かれている状況が分からないのであれば、弁護士を立てるのではなく、まずはご自身から誠意ある訃報のお手紙を送るところから始めるべきです。
ご自身から手紙を送るのがはばかられるのであれば、相続・遺産整理手続きに精通した司法書士・行政書士を送り主としてご挨拶のお手紙を送ってもらうというのも選択肢の一つになります。
司法書士・行政書士は、弁護士と違い、遺産分割について特定の相続人に代わって代理人として交渉をすることはできません(法律上の代理権が与えられておりません)。
したがいまして、お手紙の内容も、交渉する当事者たる「代理人」として連絡をするのではなく、あくまで遺産整理手続き全体を承る法律専門職として、お手続きのご協力を求めることになります。つまり、相手方がマイナスの感情を持っていたとしても、司法書士・行政書士の立場をきちんと理解頂ければ、争いがすぐに顕在化することを防げることが多いです。
弁護士は、幅広く法律の知識を持っていますが、遺産分割調停や遺産を巡る裁判を前提としない限りは、相続問題を弁護士に相談・依頼することは、必ずしも得策ではないことはきちんと認識すべきでしょう。
また、弁護士といっても、医者と同じで専門分野・得意分野が分かれています。もし相談をする場合は、相続問題に詳しいかどうか確認するとともに、高齢な弁護士や暇そうな弁護士は避けた方が無難かもしれません(その点は、どこのお医者さん・歯医者さんに行くか、と同じイメージで、やはり信頼できる方からのご紹介が一番といえます。)。
●信託銀行の遺産整理業務の問題点
次に、遺産整理業務を信託銀行に依頼するのはどうでしょう。
そもそも信託銀行は、法定相続人間で紛争性がある案件は、原則として関わりません。
金融機関である以上、紛争に巻き込まれるのを一番に恐れるからです。
つまり、相続・遺産整理手続きを信託銀行に依頼するには、たとえ法定相続人同士の関係性が疎遠であっても、相続人全員が協力的であることが大前提となります(これは、信託銀行が遺言書の中で遺言執行者に指定されている場合にも当てはまります。信託銀行が遺言執行者に就任することへの承諾書が相続人全員からもらえないと原則として信託銀行は遺言執行者に就任しません。)。
その前提に立った時、そもそも信託銀行に遺産整理業務を依頼する必要はあるので しょうか?
信託銀行の遺産整理業務の報酬は高額です。
テレビコマーシャル等の広告宣伝費に多額の費用をかけていますし、担当する銀行員の給与も低くないですから、当然といえば当然でしょう。
また、遺産整理を担当する部署の銀行員の動きも遅いことが多いです。多数の相続案件を抱えていては仕方のないことかもしれません。
高コストであり、所要日数も相当かかることを踏まえますと、実際に信託銀行に遺産整理を依頼されたことのある方からの評判は、賛否両論があるというのが現実です。
もう一つ、依頼をされた経験のある方から聞く信託銀行の遺産整理業務への注意すべき点として、相続人に対して執拗に「営業」をかけてくることが挙げられます。
信託銀行の遺産整理業務は、各相続人が当該信託銀行で作成した遺産受取用の口座に遺産分配金を送金するところが一つのゴールといえますが、信託銀行は各相続人がどれくらいの金融資産を相続したかを当然に把握しておりますので、むしろそこからが信託銀行員がメインと考える業務(営業活動)のスタートとなります。
つまり、信託銀行が揃える投資信託等の投資運用商品は品揃えも豊富ですから、自行の預金口座に送金した遺産たる金融資産について、お客様のニーズに沿った資産運用のご提案をし、金融商品の購入をお勧めするのです(そもそも、相続で資産を受け取る次世代に対しても引き続きご縁を継続し資産運用をしてもらうことが信託銀行の遺産整理業務の主たる目的ですので)。
従いまして、そのご提案を煩わしく感じる方も少なくないようです。
遺産整理業務を信託銀行に頼むことを検討する前に、まず皆様にご理解頂く必要があるのは、相続・遺産整理手続きは、プロに任せなければならない訳ではない、ということです。
頑張れば、法律の素人である法定相続人の一人が相続人代表として、預貯金口座の解約払戻手続きや有価証券の名義変更、不動産の相続登記、自動車の名義変更などをすることも可能です。
つまり、紛争性がない相続については、自分たちでも手続きが可能だが、敢えて専門家に報酬を払ってでも法的に煩雑な手続きをするのを避けたい(面倒だから、時間が無いから等理由は様々です)と考える相続人全員の総意で、遺産整理業務を依頼するというのが大前提です。
そして、プロに任せる場合に、誰に依頼するか、というのが次のポイントです。
信託銀行以外に相続・遺産整理業務を行うのは、弁護士・司法書士・行政書士という法律専門職になりますが、前述の通り、紛争性が無ければ、弁護士に依頼するというのは原則としてお勧めできません。
相続・遺産整理業務に精通している司法書士・行政書士に依頼するのがもっとも無難な選択肢と言えるでしょう。
「相続・遺産整理業務に精通している」と書きましたのは、当然司法書士や行政書士の中にも、相続・遺産整理業務の経験が豊富な方とあまり得意でない方がいるからです。
弁護士の選び方として前述したとおり、高齢過ぎず、レスポンスの良い、誠実な人柄の法律専門職を自ら探すか、信頼できるルートからのご紹介が良いでしょう。
【信託銀行の遺産整理業務の注意点のまとめ】
もちろん、相続に関して、弁護士に相談すべきケースもあります。
例えば、既に発生した相続に関し、法定相続人の間で遺産の分け方等について争いが顕在化している(遺産争いが勃発している又は遺産争いが目前に迫っている)ケースでは、初動から相続に詳しい弁護士に相談をして、どう戦うかについて備えることは得策になり得ます。
しかし、“喧嘩”が始まっていない場合、あるいはそもそも“喧嘩”が始まるかどうか分からない場合に、少なくとも最初から弁護士に依頼をするということは絶対に避けるべきです。
様々な経緯により法定相続人間の関係性が疎遠・微妙であるケースや再婚・再々婚などを経て複雑な相続関係が生じているケースでは、遺産を分ける手続きにおいて、相手方の出方・意向が分からないという状況は少なくありません。
そのような状況下で、つまり、相手方が協力的なのか、それとも快くない感情を持っているのか、まだ分からない段階で弁護士を代理人として立てれば、相手方には強烈なインパクトをもって「宣戦布告」ともとられかねません。そこまで悪いイメージを持たれないまでも、「弁護士に依頼するということは、法律的に難しい問題が絡んでいるのではないか」、「高い弁護士報酬を払う価値のある遺産の規模なのではないか」との印象を持たれ、相手側も弁護士に相談しなければと危機感をもって身構えることは必至であると思われます。
相手の出方・意向・現在置かれている状況が分からないのであれば、弁護士を立てるのではなく、まずはご自身から誠意ある訃報のお手紙を送るところから始めるべきです。
ご自身から手紙を送るのがはばかられるのであれば、相続・遺産整理手続きに精通した司法書士・行政書士を送り主としてご挨拶のお手紙を送ってもらうというのも選択肢の一つになります。
司法書士・行政書士は、弁護士と違い、遺産分割について特定の相続人に代わって代理人として交渉をすることはできません(法律上の代理権が与えられておりません)。
したがいまして、お手紙の内容も、交渉する当事者たる「代理人」として連絡をするのではなく、あくまで遺産整理手続き全体を承る法律専門職として、お手続きのご協力を求めることになります。つまり、相手方がマイナスの感情を持っていたとしても、司法書士・行政書士の立場をきちんと理解頂ければ、争いがすぐに顕在化することを防げることが多いです。
弁護士は、幅広く法律の知識を持っていますが、遺産分割調停や遺産を巡る裁判を前提としない限りは、相続問題を弁護士に相談・依頼することは、必ずしも得策ではないことはきちんと認識すべきでしょう。
また、弁護士といっても、医者と同じで専門分野・得意分野が分かれています。もし相談をする場合は、相続問題に詳しいかどうか確認するとともに、高齢な弁護士や暇そうな弁護士は避けた方が無難かもしれません(その点は、どこのお医者さん・歯医者さんに行くか、と同じイメージで、やはり信頼できる方からのご紹介が一番といえます。)。
●信託銀行の遺産整理業務の問題点
次に、遺産整理業務を信託銀行に依頼するのはどうでしょう。
そもそも信託銀行は、法定相続人間で紛争性がある案件は、原則として関わりません。
金融機関である以上、紛争に巻き込まれるのを一番に恐れるからです。
つまり、相続・遺産整理手続きを信託銀行に依頼するには、たとえ法定相続人同士の関係性が疎遠であっても、相続人全員が協力的であることが大前提となります(これは、信託銀行が遺言書の中で遺言執行者に指定されている場合にも当てはまります。信託銀行が遺言執行者に就任することへの承諾書が相続人全員からもらえないと原則として信託銀行は遺言執行者に就任しません。)。
その前提に立った時、そもそも信託銀行に遺産整理業務を依頼する必要はあるので しょうか?
信託銀行の遺産整理業務の報酬は高額です。
テレビコマーシャル等の広告宣伝費に多額の費用をかけていますし、担当する銀行員の給与も低くないですから、当然といえば当然でしょう。
また、遺産整理を担当する部署の銀行員の動きも遅いことが多いです。多数の相続案件を抱えていては仕方のないことかもしれません。
高コストであり、所要日数も相当かかることを踏まえますと、実際に信託銀行に遺産整理を依頼されたことのある方からの評判は、賛否両論があるというのが現実です。
もう一つ、依頼をされた経験のある方から聞く信託銀行の遺産整理業務への注意すべき点として、相続人に対して執拗に「営業」をかけてくることが挙げられます。
信託銀行の遺産整理業務は、各相続人が当該信託銀行で作成した遺産受取用の口座に遺産分配金を送金するところが一つのゴールといえますが、信託銀行は各相続人がどれくらいの金融資産を相続したかを当然に把握しておりますので、むしろそこからが信託銀行員がメインと考える業務(営業活動)のスタートとなります。
つまり、信託銀行が揃える投資信託等の投資運用商品は品揃えも豊富ですから、自行の預金口座に送金した遺産たる金融資産について、お客様のニーズに沿った資産運用のご提案をし、金融商品の購入をお勧めするのです(そもそも、相続で資産を受け取る次世代に対しても引き続きご縁を継続し資産運用をしてもらうことが信託銀行の遺産整理業務の主たる目的ですので)。
従いまして、そのご提案を煩わしく感じる方も少なくないようです。
遺産整理業務を信託銀行に頼むことを検討する前に、まず皆様にご理解頂く必要があるのは、相続・遺産整理手続きは、プロに任せなければならない訳ではない、ということです。
頑張れば、法律の素人である法定相続人の一人が相続人代表として、預貯金口座の解約払戻手続きや有価証券の名義変更、不動産の相続登記、自動車の名義変更などをすることも可能です。
つまり、紛争性がない相続については、自分たちでも手続きが可能だが、敢えて専門家に報酬を払ってでも法的に煩雑な手続きをするのを避けたい(面倒だから、時間が無いから等理由は様々です)と考える相続人全員の総意で、遺産整理業務を依頼するというのが大前提です。
そして、プロに任せる場合に、誰に依頼するか、というのが次のポイントです。
信託銀行以外に相続・遺産整理業務を行うのは、弁護士・司法書士・行政書士という法律専門職になりますが、前述の通り、紛争性が無ければ、弁護士に依頼するというのは原則としてお勧めできません。
相続・遺産整理業務に精通している司法書士・行政書士に依頼するのがもっとも無難な選択肢と言えるでしょう。
「相続・遺産整理業務に精通している」と書きましたのは、当然司法書士や行政書士の中にも、相続・遺産整理業務の経験が豊富な方とあまり得意でない方がいるからです。
弁護士の選び方として前述したとおり、高齢過ぎず、レスポンスの良い、誠実な人柄の法律専門職を自ら探すか、信頼できるルートからのご紹介が良いでしょう。