不動産会社が家族信託のコンサル業務をするメリットとリスク
そこで、高齢の不動産オーナーが認知症や大病になる、交通事故に遭うことにより、賃貸経営が支障をきたす、売却・買換え・建設・建替え等の計画が頓挫する、その結果、所得税対策・相続税対策もあきらめざるを得ないという事態をよく耳にします。
そのような困った事態を未然に防ぐのが「家族信託」という仕組みです。
★「家族信託」はお客様にとっても不動産会社にとっても良策となり得る
「家族信託」のご提案は、高齢の不動産オーナー(老親)が保有する財産について子世代を中心に家族全体で守り・増やし・次世代に繋げる仕組みを作るという、お客様家族皆に喜ばれる非常にやりがいのあるコンサルティング業務になります。
家族信託は、親世代と子世代の絆を深め、親の老後からその先の資産承継後までを見越して安心できるレールを敷く作業になりますので、その提案に関わる不動産会社にとっても、親世代・子世代に広く深く信頼される立場として長きにわたって関り続けることができるという大きなメリットになるでしょう。
★「家族信託」を甘く見ると大変なことに
そんな、お客様にとっても不動産会社にとっても大きなメリットがある素晴らしい仕組みの「家族信託」ですが、残念なことにきちんとした手順と知識で設計・実行されているとは限らないようです(せっかくの最新の良薬も用法・用量を守らないと効果が半減どころか副作用で悩まされることになりかねせん)。
「家族信託」をちょっとかじった程度の浅い知識で、お客様に提案をし、書籍に載っていた信託契約書例を適当に流用して、契約締結までさせてしまう不動産業者が少なからずいることも事実です(残念ながら弁護士や税理士、保険代理店の中にもそのような“インチキ専門職”がいるようです)。
家族信託に精通した司法書士・弁護士・行政書士等の法律専門職の関与の無いまま信託契約書を作成してしまうケースや、老親とその家族が集まる家族会議にそれら法律専門職が同席をして家族信託等の検討をするというプロセスを経ていないケースにおいては、次のようなトラブル・クレームが生じかねません。
◆信託契約書を公正証書にしなかったので、家族信託に対応可能な金融機関で“信託口口座”の作成ができないと拒否された。
◆担当者の説明がぎこちないので、お客様が不安になって弁護士・司法書士等の法律専門職に相談したら、おかしな設計や契約条項を数多く指摘された。
◆法律専門職のリーガルチェックもなく契約締結をしたため、信託登記の際に司法書士から問題点を指摘されて、信託契約書を大幅に修正する羽目になった。
◆家族会議のプロセスを経ずに家族信託を実行したので、後になって推定相続人たる受託者以外の子から説明を求められ、また勝手に進められてことをとがめられ家族内の信頼関係性が崩壊してしまった。
これらのトラブル・クレームの結果として、その不動産会社(またはその担当者)の信用が失墜するだけではなく、間違ったコンサルティングをしたとして後々お客様から損害賠償を求められるトラブルに発展するかもしれません。
やはり“餅は餅屋”として、家族信託に精通した法律専門職と連携をして、コンサルティング業務を共同受任することをお勧めします。
そうすることで、お客様にも安心安全の仕組みが提供でき喜ばれますし、それを提案し最後まで同席してくれた不動産会社(またはその担当者)への信頼感も増幅するでしょう。もちろん、ビジネス的にもお客様から頂戴するコンサルティング報酬をシェアできるというメリットも享受できます。
新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言も発令されている中、不動産業界を取り巻く市況も先行き不透明な厳しい状況も多いことでしょう。
まずは、本業の不動産業を継続させるためにも、お客様に喜ばれる、お客様に求められるサービスの提供を心掛けたいものです。
弊所では、東京都内のお客様に限らず、全国のお客様に対して家族信託を活用した≪認知症による資産凍結対策≫≪争族対策≫などのご提案・コンサルティングサービスを提供しておりますので、不動産会社との業務提携・共同受任に関するお問合せ・ご相談も弊所までお気軽にご連絡下さいませ。
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