農地の信託は原則禁止。それでも信託するにはどんな手続きが必要?
広い土地を持つ農家や地主にとって、財産評価を圧縮することや、納税資金を確保しながら保有する不動産を減らさずに相続を乗り切ることは、大きな関心事の一つです。農地を信託財産に含めることは原則禁止されていますが、今回は農地を将来的に有効活用や処分できるようにするために、農家や地主が取るべき手続きについて解説します。
農地の売買・贈与は法律で規制
高齢の農家・地主には、相続が発生するギリギリのタイミングまで様々な対策を講じたいという高いニーズがあります。その中で、最有力の対策になり得るのが「家族信託」です。農家・地主が保有する不動産には「農地」(※注1)が含まれることも多く、「農地と信託」というテーマは非常に重要です。
農地は農地法という法律で規制されています。所管の農業委員会の許可または届出(※注2)がなければ、売買や贈与の契約はできません。当然、売買や贈与を原因とする所有権移転登記手続きも不可能です(ただし、相続による所有権移転は除きます)。
「信託」も売買や贈与と同様に、農業委員会の許可等がなければ、農地に関する部分の信託契約の効力は発生しないことになります。