宮田総合法務事務所

土地の相続登記が義務化!?

18.01.10
暮らし・人生にお役に立つ情報
dummy

昨年末の日本経済新聞(平成29年12月29日)の朝刊によると、政府は所有者不明の土地や空き家問題の抜本的な対策に取り組むとし、相続登記の義務化や土地所有権の放棄の可否などについて具体的に検討に入るとのことです・・・。

所有者台帳からは現在の持ち主をすぐに特定できない土地、いわゆる「所有者不明土地」については、2016年に全国で約410万ヘクタールに上るとの試算が公表されています。

このまま対策を講じなければ、2040年には、約780万ヘクタールに迫るとの推計であり、これは、面積にして北海道本島と同じくらいの大きさになるとのことです。
その経済損失額は、2040年までの累計で約6兆円に上るという試算も公表されています。

 法務省が全国10地区を対象に実施した調査では、50年以上にわたって登記変更がなく、所有者不明になっている可能性がある土地は、中小都市・中山間地域で26.6%、大都市部でも6.6%とのことです。
「所有者不明土地」については、固定資産税の徴収漏れの問題は勿論、このような土地の中には、倒壊リスクや犯罪に利用されるリスクのある空き家が建っている土地も多いとみられ、看過できない大変重要な問題となっています。


 現在の登記制度は、相続登記をするかどうかは任意ですので、自己が所有者であることを第三者に主張するために自主的にする仕組みとなっています。そのため、利用価値が低い地方の土地については、相続登記する手間・費用を避け、そのまま放置するケースも多くなっています。
 そのまま何世代にも亘って相続登記が放置され続けてしまうと、登記簿上の所有者は、かなり昔に亡くなった祖父母や曽祖父母の名義のままという事態になる上、その後に相続登記をしようとしても相続権を持つ親族が多数になり、権利関係をまとめることも難しくなります。


 政府は、これらの問題を踏まえ、相続登記を義務化し、その義務に違反した場合の罰則を設ける方策や、土地所有権の放棄の可否等についても検討をしていく方針で、早ければ今年中にも民法や不動産登記法の改正に向けて法制審議会に諮問することになるようです。

  都市部の土地については、換価処分や土地の有効活用など選択肢がありますが、田舎の土地については、売ろうにも買い手がつかない、貸家やアパート、駐車場経営の需要もない・・・、と嘆く個人所有者(ご相談者)も数多く目の当たりにしております。

  個人レベル・民間レベルでは解決しにくい、所有者不明土地問題・空き家問題の実効力のある対策を国や自治体主導で実行されることを望むところであります。