宮田総合法務事務所

相続時の配偶者優遇へ民法改正か?

17.07.26
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7/19付の日経新聞朝刊のTOP記事によると、相続制度の見直しを検討している法制審議会の部会において、遺産分割の規定を見直す追加試案をまとめたとのことです。
現在の民法の相続制度では、配偶者が住む自宅(土地・建物)も他の相続人との遺産分割の対象財産になっています。
従いまして、自宅が遺産のほとんどを占めるようなケースでは、配偶者の死亡を契機に住み慣れた自宅を売却し、他の相続人と分けなければならない事態も起こり得ました。

そこで、本試案では、自宅の土地・建物を配偶者に贈与した場合には、その住居は遺産分割の対象にしない(住居以外の遺産を法定相続分で分割するイメージ)という構想です。
ただし、これには次のような条件を付けています。
①夫婦の婚姻期間が20年以上であること
②生前贈与するか遺言で遺贈する旨の意思表示をすること

これにより、長年寄り添った高齢夫婦の一方の配偶者が亡くなった場合でも、遺された配偶者が老後の住居を奪われることなく過ごせるような配慮が伺えます。
また、上記①の条件をつけることで、「後妻業」のような遺産目当てで再婚するような悪意のある配偶者にまで優遇を拡大しないということなのでしょう。

なお、これはあくまで試案に過ぎないので、今後パブリックコメント(意見公募)の実施を経て、来年の通常国会で民法改正案の提出を目指すという動きの一部です。

民法改正については、遺産分割に関する部分以外にもたくさんの改正ポイントがありますので、今後の動向が気になるところです。