斜線を引いた遺言書の有効性
遺言者自ら、全体に赤で斜線を引いた手書きの遺言書の有効性について、昨年末に最高裁の判断がなされました。
2016年11月20日、遺言者自ら赤で斜線を引いた遺言が有効かどうかが争われた訴訟の上告審で、最高裁は、「故意に遺言を破棄したといえ無効」とする判断を示しました。
事案は、広島市の男性(2002年に死亡)が、土地建物や預金などのほぼ全財産を長男に相続させるとした自筆の遺言書について、後日、遺言者自らが遺言書の左上から右下にかけて自ら赤いボールペンで斜線を引いたというものです。
もう1人の相続人である長女が「遺言は故意に破棄された」として、この遺言書の無効の確認を求めて提訴していましたが、一審の広島地裁も二審の広島高裁も、遺言者が遺言を撤回する意思で斜線を引いたことは認めつつ、「元の文字が判読できる程度の斜線では効力は失われない」と判断し、長女の請求を退けていました。
昨年11月の判決において最高裁小法廷は、遺言内容の取消しには所定の取消方法があるとはいえ、遺言者の意思を尊重し、「赤いボールペンで文面全体に斜線を引く行為は、一般的には遺言の全効力を失わせる意思の表れとみるべきだ」と指摘して、「故意に遺言を破棄したといえ、効力はない」と結論付けました。
遺言書の重要性が叫ばれて久しい中で、遺言書を作る方が増えてきています。
まずは、一度早目に手書きの遺言書(=自筆証書遺言)を作っておくところから始め、年月を経て定期的に内容の見直し・変更をしていくることをお勧めします。
そして、最終的にほぼ内容が固まったと自分で確信を持てた際には、是非近くの公証人役場で『遺言公正証書』を作成することをお勧めします。
※『遺言公正証書を作成するメリット・デメリット』についての詳細はこちら!
なお、その場合も、文案を自分で考えるのではなく、遺言や相続手続きに精通した法律専門職にきちんと相談されることが必要です。
遺言は、他の法律的な契約書等と違って、トラブルが起きた時には本人が亡くなっていますから、遺言者の意思が確認できず、財産の行く末が定まらない事態や、場合によっては、家族・親族間で泥沼の遺産争いに発展しかねません。
★遺言書作成、相続・事業承継対策、争族対策、老い支度、老後の生活支援に関するキーワードについての情報検索は、宮田総合法務事務所ホームページへ。
★遺言書作成、相続・事業承継対策、争族対策、老い支度、老後の生活支援に関するキーワードについての無料法律相談は、宮田総合法務事務所『無料相談メール』へ。
事案は、広島市の男性(2002年に死亡)が、土地建物や預金などのほぼ全財産を長男に相続させるとした自筆の遺言書について、後日、遺言者自らが遺言書の左上から右下にかけて自ら赤いボールペンで斜線を引いたというものです。
もう1人の相続人である長女が「遺言は故意に破棄された」として、この遺言書の無効の確認を求めて提訴していましたが、一審の広島地裁も二審の広島高裁も、遺言者が遺言を撤回する意思で斜線を引いたことは認めつつ、「元の文字が判読できる程度の斜線では効力は失われない」と判断し、長女の請求を退けていました。
昨年11月の判決において最高裁小法廷は、遺言内容の取消しには所定の取消方法があるとはいえ、遺言者の意思を尊重し、「赤いボールペンで文面全体に斜線を引く行為は、一般的には遺言の全効力を失わせる意思の表れとみるべきだ」と指摘して、「故意に遺言を破棄したといえ、効力はない」と結論付けました。
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