後見監督人の選任件数急増!
日本経済新聞の記事(2017年1月18日付)によると、成年後見人の不正を監視するため、家庭裁判所による「後見監督人」の選任件数が急増しているようです。
その詳細や背景等について、詳しく解説します・・・。
成年後見制度は、認知症や知的障害などで判断能力が万全でない本人に代わって、親族や司法書士・弁護士等が後見人として財産管理や契約などを行う制度です。
成年後見制度は、本人が元気なうちから後見人を自分の意思で依頼しておく「任意後見制度」と、家庭裁判所が親族の意向を踏まえ後見人を選任する「法定後見制度」があります。
任意後見制度は、好きな(任意の)後見人を就けることができる反面、必ず後見監督人が就いて、数か月ごとに任意後見人から任意後見監督人への報告義務が生じます。
一方の「法定後見制度」は、本人の保有資産や後見人としての業務内容・分量により後見監督人を就けるかどうか家裁が判断しており、監督人が就かなければ、後見人は家裁に直接年1回の報告をすればよいとされていました。
ところが近年、家庭裁判所は、後見人の財産管理状況の監督を強化する目的で、一定額以上の保有資産のあるケースでは後見監督人を就ける方針としており、2015年は、全国で過去最多の4800件超の後見監督人の選任がされたそうです。
その背景には、後見案件の増加で、家裁が直接後見人からの相談や報告に対応しきれなくなってきており、個々の事案の具体的相談は後見監督人に担ってもらう必要性が生じている点が挙げられます。
もう一つの理由として、親族後見人だけではなく、司法書士・弁護士等が就任する専門職後見人までもが、本人の財産を着服するなどの不正が横行していることが挙げられます。
最高裁によると、2015年に報告された後見制度を巡る不正は521件で、被害総額は約30億円にのぼると言います。大半が親族後見人によるものですが、弁護士・司法書士など専門職後見人による不正も散見され、2015年の不正のうち37件(被害総額約1億1千万円)が専門職によるものとされています。
これを受けて東京家裁では、弁護士や司法書士が後見人に就いている案件でも、本人の保有資産が1億円前後のを超えるものについては、専門職後見人に対して後見監督人が就く運用が開始されています。
一般の方にとっては親族後見人が就いているので後見制度の利用にかかるランニングコストは発生しないと思っていたところ、毎月1~2万円程度の後見監督人報酬が、本人の死亡するまでずっと本人の資産から支払わなければならないという事態に不満の声をあげる方がいます。
また案件によっては、専門職後見人とそれに対する後見監督人の二つの報酬が本人負担にさせられるということにもなりますので、益々ランニングコストに対する負担感が増していると言えます。
2015年の後見人選任申立件数は約34,000件で、そのうち親族が後見人に選任される、いわゆる“親族後見”が約30%、司法書士などの専門職が選任される“第三者後見”(職業後見)は約70%と、年々親族以外のなり手が増えてきている状況です。
そんな中、本人を支える家族・親族が近くにいない方や家族に紛争性がある方は、成年後見制度の実情をきちんと理解した上で上手に後見制度を利用することが必要になります。
一方で、本人が元気なうちから準備ができる場合で、かつ本人を支える家族が近くにいて円満なケースでは、敢えて成年後見制度を利用しないで『家族信託』を活用すべき方も多いので、今後は、相談を受ける法律職(弁護士・司法書士・行政書士など)や行政の相談窓口(高齢者福祉課や社会福祉協議会など)が成年後見制度と家族信託制度に精通して、上手な使い分けの提案ができるようになると、より多くの方にとって安心と平穏な老後の生活が実現できるのではないかと思います。
成年後見制度は、本人が元気なうちから後見人を自分の意思で依頼しておく「任意後見制度」と、家庭裁判所が親族の意向を踏まえ後見人を選任する「法定後見制度」があります。
任意後見制度は、好きな(任意の)後見人を就けることができる反面、必ず後見監督人が就いて、数か月ごとに任意後見人から任意後見監督人への報告義務が生じます。
一方の「法定後見制度」は、本人の保有資産や後見人としての業務内容・分量により後見監督人を就けるかどうか家裁が判断しており、監督人が就かなければ、後見人は家裁に直接年1回の報告をすればよいとされていました。
ところが近年、家庭裁判所は、後見人の財産管理状況の監督を強化する目的で、一定額以上の保有資産のあるケースでは後見監督人を就ける方針としており、2015年は、全国で過去最多の4800件超の後見監督人の選任がされたそうです。
その背景には、後見案件の増加で、家裁が直接後見人からの相談や報告に対応しきれなくなってきており、個々の事案の具体的相談は後見監督人に担ってもらう必要性が生じている点が挙げられます。
もう一つの理由として、親族後見人だけではなく、司法書士・弁護士等が就任する専門職後見人までもが、本人の財産を着服するなどの不正が横行していることが挙げられます。
最高裁によると、2015年に報告された後見制度を巡る不正は521件で、被害総額は約30億円にのぼると言います。大半が親族後見人によるものですが、弁護士・司法書士など専門職後見人による不正も散見され、2015年の不正のうち37件(被害総額約1億1千万円)が専門職によるものとされています。
これを受けて東京家裁では、弁護士や司法書士が後見人に就いている案件でも、本人の保有資産が1億円前後のを超えるものについては、専門職後見人に対して後見監督人が就く運用が開始されています。
一般の方にとっては親族後見人が就いているので後見制度の利用にかかるランニングコストは発生しないと思っていたところ、毎月1~2万円程度の後見監督人報酬が、本人の死亡するまでずっと本人の資産から支払わなければならないという事態に不満の声をあげる方がいます。
また案件によっては、専門職後見人とそれに対する後見監督人の二つの報酬が本人負担にさせられるということにもなりますので、益々ランニングコストに対する負担感が増していると言えます。
2015年の後見人選任申立件数は約34,000件で、そのうち親族が後見人に選任される、いわゆる“親族後見”が約30%、司法書士などの専門職が選任される“第三者後見”(職業後見)は約70%と、年々親族以外のなり手が増えてきている状況です。
そんな中、本人を支える家族・親族が近くにいない方や家族に紛争性がある方は、成年後見制度の実情をきちんと理解した上で上手に後見制度を利用することが必要になります。
一方で、本人が元気なうちから準備ができる場合で、かつ本人を支える家族が近くにいて円満なケースでは、敢えて成年後見制度を利用しないで『家族信託』を活用すべき方も多いので、今後は、相談を受ける法律職(弁護士・司法書士・行政書士など)や行政の相談窓口(高齢者福祉課や社会福祉協議会など)が成年後見制度と家族信託制度に精通して、上手な使い分けの提案ができるようになると、より多くの方にとって安心と平穏な老後の生活が実現できるのではないかと思います。