司法書士法人 宮田総合法務事務所

『ファイブフォース分析』で事業の方向性を明らかに!

26.08.25
ビジネス【マーケティング】
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企業にとって、自社を取り巻く外部環境を正確に把握することは、安定した収益を確保するための重要なステップです。
市場の状況は常に変化しており、気づかないうちに予期せぬリスクに直面することも珍しくありません。
そこで役立つのが『ファイブフォース分析』という手法です。
この手法を用いることで、業界内に潜む脅威を可視化し、自社の立ち位置と今後の方向性を冷静に見極めることができます。
今回は、具体的な事例を交えながら、ファイブフォース分析の基本的な考え方と、その活用法について解説します。

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利益率向上を目指し、新規事業の検討時に活用

物価の高騰や市場の成熟化など、企業を取り巻く環境が厳しさを増すなか、従来のビジネスモデルだけでは持続的な成長がむずかしくなってきました。
こうした状況のなか、利益率を向上させるために、多くの企業が新規事業への参入を検討しています。

中小企業庁の委託調査によれば、新規事業の展開に成功した企業のうち、経常利益率が増加傾向にあると回答した割合は51.4%に達している一方で、新規事業の展開に成功していない企業のなかで、経常利益率が増加傾向にあると答えた割合は30.2%にとどまりました。

この結果からも、新規事業の展開に成功した企業では、利益率が向上する傾向があることが読み取れます。
しかし、十分な見通しを持たずに未知の領域へ踏み出すのはリスクを伴います。
そこで、参入先の事業が自社にとって魅力的なのか、それとも既存の事業に注力したほうが効果的なのか、検証する作業が必要になります。
その際に活用できるのが、アメリカの経営学者マイケル・E・ポーターが提唱した『ファイブフォース分析』です。

ファイブフォース分析は、市場の魅力度や参入の妥当性を測る際に活用できる代表的なフレームワークで、「企業間の敵対関係」「新規参入企業の脅威」「代替品の脅威」「売り手の交渉力」「買い手の交渉力」の5つの要素を用いて分析します。
この5つがそれぞれどの程度強い力を持っているかを分析することで、その業界の競争の激しさを測り、自社の収益性を予測できるというわけです。

影響力が強ければ強いほど、その事業で高い収益を上げるのはむずかしく、反対に影響力が弱ければ、長期的に安定した利益を生み出せる可能性があると判断できます。

分析に必要な5つの軸と具体的な活用例

それでは、分析の軸となる5つの脅威について順に見ていきましょう。

1.企業間の敵対関係
競合となる企業の数が多かったり、提供する価値が似通っていたりする場合、価格競争に陥りやすく、結果として業界全体の利益水準が下がる傾向にあります。

2.新規参入企業の脅威
参入に必要な資金が少なくて済むなど参入障壁が低い業界は、自社が参入しやすい一方で、他業種からの参入も容易です。
新たな企業が増えれば市場シェアの奪い合いが激しくなり、自社の利益を圧迫する可能性があります。

3.代替品の脅威
自社の商品やサービスと直接競合するものではなく、別の手段で顧客のニーズを満たしてしまうものを指します。
スマートフォンの普及でデジタルカメラ市場が縮小したように、代替品の登場は業界の収益構造を根本から変えてしまうことがあります。

4.売り手の交渉力
自社に原材料を供給するサプライヤーの力が強い状況を指します。
特定の企業しか扱っていない素材に依存している場合などは、仕入れ価格の引上げを受け入れざるを得なくなり、利益率が低下する原因になります。

5.買い手の交渉力
顧客や販売代理店の立場が強い状況を意味し、競合製品との差別化がむずかしい市場では、値下げを求められやすくなり、適正な利益の確保が困難となります。

これらの要素を踏まえ、実際に新規事業へ参入するシーンを想定して、分析の流れを確認してみましょう。
たとえば、健康志向の高まりを背景に、独自の有機野菜を使った健康飲料の通信販売事業への参入を検討しているとします。
「企業間の敵対関係」を見ると、健康飲料の市場にはすでに多数の競合が存在し、広告合戦が繰り広げられており、競争は厳しいといえます。
「新規参入企業の脅威」についても、通信販売は初期投資を抑えやすく、今後も異業種からの参入が相次ぐ可能性が高い環境といえるでしょう。
「代替品の脅威」としては、サプリメントや自宅でつくるスムージーなどがあげられ、顧客の選択肢は多岐にわたります。
一方、「売り手の交渉力」に関しては、契約農家を開拓し独自のルートで有機野菜を安定して仕入れる仕組みを構築できれば、特定の仕入先への依存を抑え、売り手の交渉力による影響を受けにくくなる可能性があります。
「買い手の交渉力」についても、美容を意識した商品設計や、希少な成分を使用していることなど、独自の価値を打ち出し、定期購入の仕組みを構築できれば、他社製品への乗り換えを防ぎ、顧客の価格交渉力を弱めることが可能です。

このように分析を行うことで、この事業は全体として競争環境が厳しく、収益性を高めるハードルは高いものの、独自の仕入れルートと付加価値の高い商品開発ができれば十分に勝機を見いだせる可能性があると判断できます。

ファイブフォース分析は業界の構造を俯瞰し、自社がどの領域に注力すべきかを見極めるための指針となります。
新規事業への参入に限らず、既存事業のテコ入れや戦略の見直しなど、あらゆる場面で活用できる汎用的なツールです。
自社の現在地を客観的に評価し、次なる成長への足がかりとして日々の経営戦略に役立ててみてください。


※本記事の記載内容は、2026年8月現在の法令・情報等に基づいています。