遺贈寄付のリスク・注意点とは?
遺贈寄付は、自分の死後、自分の築いた財産を特定の団体や社会のために役立てられる素晴らしい選択肢の一つです。しかし、適切な準備を怠ると、予期せぬトラブルにつながるケースが少なくありません。
そこで今回は、遺贈寄付の代表的なリスク・注意点について簡潔にご紹介します。
〜遺贈寄付のリスク・注意点〜
(1)譲渡所得税の申告と納税の要否を把握する
寄付を受ける側の団体は、不動産や有価証券などの遺贈寄付を受け付けないところも少なくありません。
そこで、不動産や有価証券を売却した後の換価代金を寄附するケースが一般的と言えるでしょう。
このとき、含み益のある不動産や有価証券を遺贈寄付することを検討している場合には注意が必要です。
不動産や有価証券を売却した際に、当該財産の取得時の費用(取得費)に比べ、売却時の価格がそれを上回る場合、譲渡により利益が生じたとして、当該利益に対して譲渡所得税が課税されます。
これを「みなし譲渡所得税」と言います。
この「みなし譲渡所得税」の納税義務者は、寄附を受け取った団体ではなく、被相続人となります。実際の納税は、相続人(又は包括受遺者)が納税義務を負うことになり、相続人は相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内に準確定申告を行い納税することになります。
なお、この「みなし譲渡所得税」は、実際には売却せずに現物不動産を遺贈寄付する場合も、遺贈の時点において時価で譲渡したものとみなされて課税されることは同じです。
大切なことは、遺言書を作成する前に、希望する寄付先へ直接相談をして、遺贈寄付する予定の財産が受け入れ可能かを確かめておくことはもちろんですが、不動産を遺贈寄付する場合の「みなし譲渡所得税」の課税の有無についてしっかりと把握することです。
もし納税額が発生する場合は、その財源をどのように捻出し、誰に負担させるかなどを、遺言書の中で明確に記載しておくとよいでしょう。
(2)遺留分を侵害しないようにする
遺留分とは、一定の法定相続人に法律上保障されている最低限の遺産取得割合のことです。
遺留分権利者(配偶者、子、両親など)がいる場合において、特定の団体へ全財産を寄付するような遺言書を遺すと、遺留分を侵害された親族が当該団体に対して「遺留分侵害額請求」をおこない、紛争に発展する可能性があります(反対に、自分の法定相続人が、遺留分の無い兄弟姉妹や甥姪のみの場合、相続人が誰もいない場合などは紛争リスクはほぼありません)。
トラブルを防ぐためには、事前に、将来の相続発生時における遺産の総額予測をした上で、遺留分権利者の有無、遺留分に配慮した遺産配分などを踏まえ、憂いの無い遺言書の作成を目指すことが重要です。
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『遺贈寄付のメリット・リスク・注意点とは?』
(3)スムーズかつ確実な遺言執行を目指す
遺言内容を確実に実現する役割を担うのが「遺言執行者」です。
遺言執行者は、相続人等の家族でもなれますし、司法書士・弁護士等の法律専門職などを指定しておくケースも少なくありません。
大事なことは、自分の遺言内容が確実に実現されるように、信頼できる遺言執行者を遺言書の中で指定しておくことです。
さらには、家族などを遺言執行者に指定する場合は、予備的な執行者(第二・第三の執行者)も定めておくと、担い手が欠けて遺言執行手続きが滞ることがなく安心です。
なお、相続人が遺産相続をするケースと異なり、遺贈寄付が絡む遺言執行の場合は、寄附先との調整作業もありますし、寄付が確実に実行されることを担保する意味でも、法律専門職を遺言執行者に指定するケースも一般的です。
(4)相続人の心情に配慮する
財産の処分方法は遺言者の自由ですが、家族への事前説明を欠かさないようにしましょう。
亡くなった後に初めて遺贈寄付の事実を知った場合、相続人をないがしろにされたように感じ、親族間で不満が募る原因になりかねません。
自分の想いや寄付の意図をあらかじめ伝えておくことで、遺族の理解を得やすくなり、スムーズな執行につながる可能性が高いです。
以上、今回は遺贈寄付のリスク・注意点を一部ご紹介しました。
遺贈寄付についてご検討中の方やお困りの方は、一度当事務所にご相談ください。
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