司法書士法人 宮田総合法務事務所

相続放棄が難しいケースとは?

26.03.05
暮らし・人生にお役に立つ情報
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家族や親族が亡くなり、相続・遺産分割手続きを進めるうえで、何らかの事情で「相続放棄」を検討することもあるでしょう。

しかし、中には、相続放棄をしたくてもできないケースが存在します。

そこで今回は、相続放棄が難しい典型的なケースをご紹介します。

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<相続放棄が難しいケース>

(1)手続きの期限を過ぎてしまった場合(熟慮期間の経過)

相続放棄の手続きは、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に「相続放棄の申述」の申立てをする必要があります

各相続人が相続放棄をするかしないかは、各自が一定の期間以内に決めなければならず、その期間を「熟慮期間」といいます。

相続放棄の熟慮期間は、「相続発生を知ってから3ヶ月以内」とされておりますので、この期間内に家庭裁判所に申立てをしないと、それ以降に相続放棄をすることは認められない可能性があります。

その一方で、疎遠な親族関係において、相続人が被相続人の死亡の事実を認識していなければ、3ヶ月以内という期間計算がスタートしないことになります。

なお、この熟慮期間は、家庭裁判所に対して、「相続放棄の期間伸長の申立て」をすることにより、さらに3~6ヵ月程度延長することはできます

とはいえ、相続放棄には時間的制約があることを念頭に、早めに遺産の調査と相続放棄の要否についての検討をすることが重要です。

 

(2)単純承認とみなされる場合

「単純承認」とは、被相続人の相続財産(不動産や金融資産等のプラスの財産・権利だけではなく、借金等の義務も含む)をすべて受け継ぐこと(=相続する)ことを認めることです。

遺産を相続する意思で相続財産を使用・収益・処分した場合(例えば遺産たる金銭を消費したり、動産・不動産を売却したり、賃料を受け取ったりした場合など)は、「単純承認」したことになりますので、あとで翻意して「相続放棄したい」と言っても、相続放棄はできません。

その一方で、積極的に単純承認をする意思が無くても、下記のようなケースでは、「単純承認」とみなされる可能性がありますので、その場合も相続放棄は難しくなります。

 

(あ)相続財産から葬儀費用を支払った

葬儀代は、喪主となる相続人又は遺族が支払うのが一般的であり、相続人や遺族、第三者が自分の財布から葬儀代を支払ったとしても、相続放棄の可否に影響はありません。
その一方で、葬儀等にかかる費用を相続財産から支払うことには注意を払う必要があります。

遺体の保管や火葬に必要な一般的な葬儀費用については、単純承認とは認められないとされていますので、領収書等を保管しておけば問題ないでしょう。
しかし、華美・盛大な葬儀を執り行った際の費用を相続財産から支払う行為は、単純承認したとみなされる可能性が高くなります墓石の購入・位牌の作成に関する費用などについても同様です。
また、初七日や四十九日、一周忌といった法要にかかる費用を相続財産から支払うことも、単純承認したとみなされ、相続放棄できなくなるリスクがありますので、注意が必要です。

 

(い)相続財産から被相続人の債務を支払った

相続財産から被相続人の債務を支払う行為も、「相続財産の処分」(民法第 921 条第 1 号)に該当して相続放棄ができなくなる恐れがあります
その一方で、相続人が自分の固有財産から債務の弁済をおこなう行為は、保存行為であって、「処分」には当たらないと解されています。
なお、既に債務や税金について、被相続人の財産から支払ってしまった場合でも、その債務の性質や金額等によっては保存行為と解釈され、相続放棄が認められる余地はあります。
この辺りは、具体的な事情により最終的に家庭裁判所が判断しますので、支払ってしまった場合でも、あきらめずに一度、司法書士・弁護士等の法律専門職に相談されることをお勧めします。

 

(う)金銭的価値の高い「形見」を受け取った

金銭的価値の高い「形見」を受け取る行為も、単純承認とみなされる可能性があります

被相続人が大事にしていたものを形見として受け取った場合、金銭的価値が高くなければ単純承認には該当しないといえます。

しかし、ブランド物のスーツや時計、宝石・貴金属、着物、骨董品など、財産的な価値の高いものを受け取ると、遺産を相続したものと判断され、単純承認したとみなされるリスクがあります。

形見として受け取って問題ないか判断が難しい場合は、形見分けの前に法律専門職に相談するといいでしょう。

なお、遺骨や位牌、仏壇は、相続財産ではなく「祭祀財産」と考えられており、これらを引き取っても相続放棄は可能となります。

 

 

上記の通り、相続放棄をしたくてもできなくなるケースがあることを把握し、被相続人の借金の有無を含め遺産内容がはっきりしない段階では、相続放棄をする可能性を残す意味でも慎重な行動が求められます。

 

 

 

以上、今回は、相続放棄が難しいケースを簡潔にご紹介しました。

相続放棄に関することはもちろん、相続人の調査、相続財産の調査、遺産整理・遺産分割に関すること等、相続に関してご不明な点・ご不安な点・お困りの点等ございましたら、相続問題に強い【司法書士法人宮田総合法務事務所】までお気軽にご相談ください。

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