司法書士法人 宮田総合法務事務所

マンション共用部の不具合による損害は管理組合が賠償責任を負うとの最高裁判決

26.02.05
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2026年1月23日の日本経済新聞朝刊の記事によりますと、分譲マンションの共用部分の不具合で生じた居室の漏水被害について、管理組合が賠償責任を負うとする最高裁判所の判断が初めて示された、とのこと。

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過去においては、外壁や屋上といった共用部分の欠陥が原因で生じた各居室(区分所有建物)に生じた損害について、区分所有者(当該居室のオーナー)が損害賠償を求めるには、全ての部屋の区分所有者を相手取る必要があるとの司法判断もあったが、大規模な分譲マンションでは、区分所有者の特定が困難で、訴訟を起こしにくいとの問題点が指摘されていた。

今回の2件の訴訟は、東京都練馬区と新宿区の築30年以上の分譲マンションで漏水被害を受けた部屋の区分所有者が原告となり、それぞれの管理組合に対し、共用部分にあたる外壁の保守に欠陥があり、亀裂などから浸水したとして、損害賠償を求めていた。



民法は、建物などの欠陥による損害は「占有者」が賠償責任を負うと規定しているが、今回の2件の訴訟では、管理組合が共用部分の「占有者」に該当するかが主な争点となっていた。
2審の東京高裁は、「占有者は管理組合ではなく、区分所有者全員だ」として、被害を受けた区分所有者からの請求を棄却していた。
これに対し、今回の最高裁判決は、各区分所有者から管理費及び修繕積立金を徴収しており、「管理組合は共用部分の安全性を確保し、欠陥による損害の発生を防止すべき地位にある」として、管理組合が「占有者」にあたると認定した。
その上で、「損害が生じれば、その財産から賠償するべきだ」と結論づけた。そして、2件の2審判決をいずれも破棄し、賠償額の算定のため、審理を同高裁に差し戻した、とのこと。



老朽化マンションを巡るトラブルは、全国で多発しており、共用部分の修繕が行き届かない分譲マンションは少なくない。
特に古いマンションにおいては、大規模修繕の予算を管理組合側で確保するためには、管理費及び修繕積立金を値上げする必要もあるが、あらゆる物価が高騰し生活が苦しくなる中で、区分所有者で作る管理組合の総会で管理費の値上げの決議がスムーズに可決できるケースは多くない。



共用部分の不具合に伴うトラブル対策としては、管理組合が加入する火災保険に「施設賠償責任保険」の特約を付け、保険金額を上限に管理組合が負う損害賠償金等をカバーできるようにすることが考えられる。
しかし、共用部の修繕が行き届いていないマンションは、保険料が高くなったり、そもそも加入ができない場合もあるといい、対策が容易に講じられないケースも多分に想定される。



今回の最高裁判決により、マンション管理組合に対して損害賠償請求をすることが認められたことで、今後は、被害を受けた区分所有者にとっては、司法による救済を受けやすくなるというプラスな影響があると言える。

しかしその反面、築年数の経過したマンションにおいては、共用部分の不具合で居室に被害が生じたときに管理組合が当該被害を回復させる(修繕費を出す)義務があるとされたことは、共用部分の管理のための資金(修繕積立金)が枯渇し、必要な修繕工事が困難になるリスクのある分譲マンションが今後ますます増えると言える。