司法書士法人 宮田総合法務事務所

税制上の優遇措置が受けられる『優良な電子帳簿』の規程

26.01.27
ビジネス【税務・会計】
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昨今のインボイス制度や電子帳簿保存法の改正など、目まぐるしく変化する経理実務のなかでも、経理担当者が特に理解しておきたいのが「優良な電子帳簿」です。
これは電子帳簿保存法において、特定の要件を満たして保存される国税関係帳簿(仕訳帳や総勘定元帳など)のデータを指しています。
通常の電子データ保存よりも高い基準をクリアしたこの帳簿には、税務調査時のリスク軽減をはじめとしたメリットがあります。
経理のDX化を進めるうえで重要な目標となる「優良な電子帳簿」の基礎と、その導入について解説します。

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「優良な電子帳簿」が満たすべき高度な基準

電子帳簿保存法では、会計ソフトなどで作成した帳簿データを保存する際、最低限守らなければならない「一般要件」と、より信頼性の高い「優良要件」の2つを区分しています。
「優良要件」と認められるためには、単にパソコンの中にデータがあればよいというわけではなく、データの真実性(改ざん防止)と可視性(検索・表示)を高いレベルで保証する必要があります。
具体的には、訂正や削除を行なった際にその履歴がすべて自動的に残り、内容を確認できる機能が必要です。

また、通常の検索機能に加え、範囲指定や複数の条件を組み合わせた複雑な検索ができることや、仕訳帳と総勘定元帳などの関連する帳簿同士が相互にリンクしており、スムーズに照合できることも求められます。
つまり、税務署側から見て、データが改ざんされておらず、追跡調査が容易なシステム環境で作成された帳簿が、「優良な電子帳簿」として認められるということです。

導入することで得られる経営上のメリット

「優良な電子帳簿」を導入する最大のメリットは、税務コンプライアンス上の優遇措置にあります。
特に重要なのは、過少申告加算税の軽減措置です。
もし、将来的に税務調査が入り、申告漏れなどを指摘された場合、通常であれば追徴税額に加えて過少申告加算税が課されます。
しかし、あらかじめ届出を行い、優良な電子帳簿の要件を満たして管理・保存している場合であれば、その電子帳簿に関連する申告漏れがあった場合でも、それに対する過少申告加算税が5%軽減される規定があります。
ただし、隠蔽や仮装があった場合を除きます。

また、個人事業主の場合には、青色申告特別控除におけるメリットもあります。
通常55万円の特別控除ですが、優良な電子帳簿の要件を満たすことで、最大65万円の控除を受けることが可能になります。
ただし、65万円の控除を受けるための要件は「優良な電子帳簿の備え付け」だけが選択肢ではなく、「e-Tax(電子申告)による申告」を行うことでも達成できます。
したがって、個人事業主の場合は、特別控除を受けるためには必ずしも優良な電子帳簿が必須条件ではないという点は留意しておきましょう。

優良な電子帳簿を導入するステップ

導入するうえで重要なのは、対応システムの選定です。
自社開発のシステムでない限り、市販の会計ソフトを利用することになりますが、その際は「JIIMA認証」を受けている製品を選ぶのがベストです。
これは公益社団法人日本文書情報マネジメント協会が、法的要件を満たしていると認証したソフトウェアのことで、そのなかでも「優良な電子帳簿」に対応している製品を選べば、機能面の要件についてはクリアできます。

次に、税務署への手続きが必要です。
電子帳簿保存法自体は事前承認制度が廃止されましたが、「過少申告加算税の軽減措置」を受けるためには、あらかじめ所轄の税務署へ「国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等に係る過少申告加算税の特例の適用を受ける旨の届出書」を提出しなければなりません。
システムを入れるだけでは優遇措置は適用されないため、この手続きは忘れないようにしましょう。

前述したように、優良な電子帳簿の制度自体は、法人だけでなく個人事業主でも利用が可能です。
事業規模が小さくても、税制優遇のメリットを受けられる権利は平等にあります。
しかし、実務的な「手間の費用対効果」を考えると、慎重な判断が求められます。
優良な電子帳簿の要件を満たすためには、厳格な訂正履歴の管理や詳細な検索機能を持つ高機能な会計ソフトが必要となり、運用コストや学習コストがかかる場合があります。
もし、目的が「青色申告特別控除を65万円にすること」だけであれば、帳簿要件が厳しくなる方法を選ぶよりも、現在の会計処理のままe-Taxを利用して確定申告を行うほうがより目的を達成しやすいでしょう。

個人事業主が導入を検討する際は、控除額だけでなく「万一の調査時の安心感」や「帳簿管理の透明性向上」に、どれだけの価値を見出すかで判断しましょう。

「優良な電子帳簿」は企業の信頼性と管理能力を示す一つの指標ともいえます。
導入にはシステムの選定や届出といった準備が必要ですが、この機会に、より強固で透明性の高い経理体制を構築してみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2026年1月現在の法令・情報等に基づいています。