認知症になっても家族信託はできる?
老親の将来の財産管理・生活サポート・相続トラブルなどに関する不安やリスクを軽減するために、「家族信託」を検討されている方が増えております。
では、認知症発症後であっても家族信託は実行できるのでしょうか。
今回は、認知症になっても家族信託はできるのか、について簡単に解説します。
<認知症になっても家族信託はできる?>
まず、「認知症」という言葉の概念は幅が広いので、「認知症になったら」という言葉は正確ではありません。正確には、「判断能力が著しく低下・喪失したら」と言うべきでしょう。
そして、結論から申し上げますと、判断能力が著しく低下・喪失したら、家族信託は実行できません。
家族信託は、財産管理を託す立場(=委託者)となる老親と財産管理を担う立場(=受託者)となる子世代との間で信託契約を交わすことになります形態が一般的です。
「契約」という法律行為をする以上、その契約の意味・効果を契約当事者が理解していることが求められます。
したがいまして、判断能力(物事を理解し、決断をする能力)が著しく低下や喪失した場合には、有効な信託契約を交わすことができないと考えるべきです。
<「認知症」と診断されてもあきらめない>
物忘れが多い方(認知症ではないかと疑われる方)でも年相応の衰えに過ぎない方も多いですし、認知症と診断されたからといって、各種契約の締結や遺言などを有効にできる能力が無い(時間切れ)とあきらめる必要はありません。
認知症と診断されて通院や服薬をしている方でも、普通に日常生活を支障なく生活している方も少なくありませんのでし、認知症だから何も分からない・何もできない、ということにはなりません。
認知症と診断されたという事実があってもすぐにあきらめずに、これからできることをご家族で一つ一つ検討・実行いただきたいと考えます。
老親の将来の財産管理・生活サポート・相続トラブル予防に関してできること(資産凍結対策・相続税対策・争族対策)として、「家族信託」だけではなく、「生前贈与」「任意後見」「遺言」などがあげられます。
特に「家族信託」について言えば、次章で触れる3つの“核心”について理解できているかどうか、ということが重要になります。
<家族信託の実行に最低限必要な3つの“核心”への理解>
家族信託を実行できるか(有効な信託契約を交わすことができるか)どうかについては、認知症であるかどうかではなく、判断能力があるかどうか、より具体的には家族信託に必要な下記㋐㋑㋒の3つの“核心”への理解・納得があるかどうかが重要であると考えます。
㋐自分がどんな財産を持っているか(「信託財産」についての理解)
㋑誰に財産管理を任せるか(「受託者」についての理解)
㋒管理を任せてどうしてほしいか(財産の管理・処分・承継に関する方針への理解)
上記㋐㋑㋒以外にも、家族信託にとって重要な“核心”は沢山ありますが、家族信託の設計の骨格をなす上記3つの“核心”について、しっかりと理解・納得をしていることは必須であり、この3点について、明確に理解・納得ができていないと家族信託の実行は難しいです。
言い換えますと、上記3点の理解・納得が明確であれば、「受託者」とか「受益者」とか「受益権」とか「帰属権利者」といった法律用語への理解が不十分であっても、家族信託を実行できる可能性はあると言えます。
以上、今回は、認知症になっても家族信託はできるのか、について簡単に解説しました。
初期・軽度の認知症であれば、家族信託が実行できる可能性は十分にありますが、とは言え、「家族信託」等の施策の実行は早めに検討・実行することが重要です。
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