司法書士法人 宮田総合法務事務所

必要書類や登記費用を準備!『住所変更登記』の手順とは

25.12.02
業種別【不動産業(登記)】
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これまで不動産の登記簿に記載されている所有者の住所や氏名が変わっても、変更登記は任意とされてきました。
しかし、法改正により、2026年4月1日からは、住所変更登記や氏名変更登記が義務となります。
住所や氏名を変更してから原則2年以内に登記を申請しなければならず、もし正当な理由なく申請を怠ると、過料が科される可能性もあります。
一般的に「登記」と聞くとむずかしいイメージがありますが、実は、自分で手続きを行うことも不可能ではありません。
今回は、住所変更登記に絞って、具体的な手順などを解説します。

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住民票などで新住所への引っ越しを証明

住所変更登記を自分で行う場合、まずは、所有している不動産の現状を正確に把握する必要があります。
法務局で管理されている不動産の登記簿には、その不動産の所在地や広さ、所有者の氏名や住所などが記録されています。
そうした情報をしっかり把握するため、自身が所有する不動産の「登記事項証明書」を取得しましょう。

登記事項証明書は全国どこの法務局(またはその支局・出張所)でも取得できますし、郵送やインターネットでも請求できます。

登記簿上の住所が確認できたら、次はその記載された住所から新しい住所まで、どのように住所が移転してきたかを公的な書類で証明します。
必要な書類は、「登記原因証明情報」として添付するための「住民票」または「戸籍の附票」です。

もし、登記簿上の住所が「一つ前の住所」である場合、現在の住所地で「住民票の写し」を取得すれば、多くの場合は「前住所」として登記簿上の住所が記載されているため、「古い住所から新しい住所へ引っ越した」というつながりが証明できます。

問題は、登記簿上の住所が「二つ以上前」の住所である場合です。
住民票には通常、一つ前の住所しか記載されません。
また、市区町村をまたいで引っ越しを繰り返していると、現在の住民票だけでは登記簿上の住所までさかのぼることができません。

こうした場合には「戸籍の附票」が役立ちます。
戸籍の附票は本籍地の役所で管理されており、原則としてその戸籍がつくられてから現在までの住所の履歴が一覧になっているため、取得することで自身の住所の変遷を証明することができます。
ただし、戸籍の附票の除票および改製原附票の保存期間が延長された住民基本台帳法施行令の改正よりも前に保存期間が過ぎてしまったものについては、すでに破棄されている場合もあります。
そのため、附票で過去の住所が確認できないケースもある点には注意が必要です。

登記申請書の完成後、収入印紙を貼って提出

住民票や戸籍の附票を取得したら、法務局に提出する「登記申請書」を作成します。
申請書のフォーマットや記載例は、法務局のWebサイトで入手できます。

申請書には、まず「登記の目的」として、「所有権登記名義人住所変更」と記載します。
「原因」には、最終の引っ越しをした日付(住民票などに記載されている転入日)と「住所移転」と書きます。
次に「変更後の事項」として、新しい住所を記載します。
さらに「申請人」として、自分の住所・氏名を記載し、連絡先の電話番号(日中連絡が取れる番号)も必ず書きましょう。

「添付情報」の欄には取得した住民票や戸籍の附票を意味する「登記原因証明情報」と記載し、「登録免許税」には計算した税額を記載します。
住所変更登記にかかる登録免許税は、不動産1個につき1,000円と決められています。
たとえば、土地1筆と建物1棟を所有している場合、不動産は合計2個となるため、1,000円×2個=2,000円と書き加えましょう。

最後に、「不動産の表示」には、不動産の情報を書いていきます。
土地であれば「所在」「地番」「地目」「地積」、建物であれば「所在」「家屋番号」「種類」「構造」「床面積」などです。

こうして申請書が完成したら、郵便局の窓口や法務局内の印紙売場などで登録免許税分の「収入印紙」を購入して貼り付け、法務局の窓口へ持参するか、郵送もしくはインターネットで申請します。
ただし、申請先はどこの法務局でもよいわけではない点に注意が必要です。
該当の不動産の所在地を管轄する法務局へ申請するようにしましょう。

法務局の登記官が書類を審査し、特に不備がなければ、通常1週間から2週間程度で登記が完了します。
登記が完了すると、法務局から「登記完了証」という書類が交付され、登記簿上の所有者の住所が新しいものに書き換わったことになります。

住所変更登記の申請は順を追って丁寧に作業をしていけば、自分で行うことも決して不可能ではありません。
一方で、平日は忙しくて役所や法務局に行く時間がない、あるいは義務化に向けて確実に手続きを終わらせたいという場合は、登記の専門家である司法書士に代行してもらうことも検討しましょう。
「登記簿上の住所が古すぎて、役所で書類を取得しても、現在の住所までのつながりが証明できない」といったケースなども、個人で対応することが困難なため、司法書士に依頼するのがおすすめです。

住所変更登記が必要な場合は、義務化に備えて、司法書士へ早めに相談しておくとよいでしょう。


※本記事の記載内容は、2025年12月現在の法令・情報等に基づいています。