「きょうだい児」とは? その支援策もご紹介
武蔵野市のJR中央線・京王井の頭線「吉祥寺駅」北口徒歩2分の≪司法書士法人宮田総合法務事務所≫です。
障がいや重い病気を持つため日常生活にサポートが必要な兄弟姉妹がいる子どものことを「きょうだい児」と呼ぶのをご存じでしょうか。親としては、障害や難病を持つ子の生涯(親なきあと)に不安を抱えるだけではなく、「きょうだい児」の将来の生活や子供同士の関係に不安を感じることも多いでしょう。
本記事では、「きょうだい児」が抱える問題やその支援策について解説します。
◆きょうだい児が抱えやすい問題
「きょうだい児」は、障害や難病を持つ兄弟姉妹(以下、「きょうだい」と言います。)の世話で親が大変なことを理解し、我儘を言わず我慢強くなる傾向があると言います。
その一方で、寂しさ・孤独感や複雑な感情をひとりで抱え込んでしまうケースも多いようです。
親でも当事者でもない立場だからこそ、周囲に理解されにくい悩みを抱えることがあります。
周囲の無理解から生まれる偏見や心ない言葉に、心を閉ざす子は少なくないようですし、
進学や就職、結婚の時期に「家族を置いて家を離れて自分だけ自由に生きて良いのか」と迷い、自分のことを最優先にする選択をためらうことも多いです。
親が高齢化してくると、老親の介護・住居・財産管理・資金繰りの問題というどの家庭でも直面し得る問題に加え、老親が面倒を見切れなくなった後の社会的弱者であるきょうだいのサポート・住居・財産管理の問題にも向き合わなければならず、二重の負担について不安を持つことになりかねません。
◆きょうだい児に対しての精神的なサポート
近年、きょうだい児を支援する取り組みが広がっています。
具体的には、きょうだい児同士が安心して本音を話したり、遊んだりできる交流の場を提供するNPOや支援団体が増えてきました。同じ境遇の仲間と出会うことで、孤独感が和らぎ、自分だけではないと安心できるでしょう。こうした場は、彼らにとって大切な心の支えとななることでしょう。
◆きょうだい児の親として将来に備えるべきこと
きょうだい児の親としては、障害や難病を持つ子の“親なきあと問題”(※)への備えの中に、きょうだい児に対する心配りが必要だと考えます。
親が元気なうちは、障害や難病を持つ子のケアは親自身が主体となって行うので、きょうだい児は自分の好きな道に進めばよいことを伝え続けることが重要です。
それに加え、親が高齢・大病・死亡により、障害や難病を持つ子のケアをできなくなった後も、きょうだい児に過度な負担を負わせることがないような仕組みを作ってあげることも重要です。
具体的には、“親なきあと”に備えて、「家族信託」や「遺言」、「成年後見制度」、「生命保険」「特定贈与信託」などの活用についての検討が考えられます。
その中でも、特に「成年後見制度」をどのタイミングで利用するか、後見人を誰にするかという課題は、非常に重要になります。
きょうだい児の精神的・事務的負担を考えますと、成年後見人は、敢えてきょうだい児にするのではなく、信頼できる司法書士等に成年後見人の就任を依頼することにより(この場合の後見人のことを、親族後見人との比較で「職業後見人」「第三者後見に」と言います)、きょうだい児の負担を軽減できることができるでしょう。
もちろん、職業後見人を就けることにより、毎月のランニングコストは発生するので、経済的な負担を強いられる覚悟は必要ですが、もし障害や難病を持つ子本人の資産が少ないからといっても、きょうだい児に後見人報酬等の支払い請求が回ってくることなどはありません。
きょうだい児としては、職業後見人ではできない医療行為に関すること、例えば本人の手術同意など、家族・親族の関与が必要なことについてだけ関わってもらうことで、きょうだい児の精神的・事務的負担は最小限で済むようにできると考えます。
(※)障害や難病で自活能力の低い又は自活能力の無い子について、親が万全のサポートができなくなった後に、誰がどのように親に代わってその子の生涯にわたるサポートをするかという問題。親が亡くなったときに顕在化する問題ではなく、親が大病や認知症、要介護状態になった時点で顕在化する問題という意味で「親なきあと」は「亡き」ではなくひらがなで表記するのが一般的。
このように、親としても、きょうだい児としても、また障害や難病を持つ子としても、将来に対する漠然とした不安を軽減するために、親が元気なうちから早めに備えを始めることがとても大切です。
そして、その際は、 “親なきあと問題”にも精通した法律専門職(司法書士・行政書士・弁護士など)に相談をしながら、“家族会議”を通じて家族全体で検討し、理解・納得できる仕組み作りを目指していただきたいです。
以上、今回は「きょうだい児」について、その概要や支援、抱えやすい問題について解説しました。
当事務所は、東京都内はもちろん、神奈川・千葉・埼玉など東京近郊に限らず、Zoom等のリモート打合せも駆使しながら、全国エリアで対応しております。
“親なきあと”への備えや“円満円滑な資産承継”・“安心の老後生活”の実現に関して、ご不安な方・お悩みの方・お困りの方は、この課題に精通した司法書士・行政書士が多数在籍する≪司法書士法人 宮田総合法務事務所≫までお気軽にご相談ください。