不妊治療や女性の健康課題に対応する両立支援制度に助成
両立支援等助成金「不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース」は、働く女性が不妊治療や女性の健康課題に直面しながらも、仕事と治療を両立できる環境を整えるための制度です。
従来の両立支援等助成金(不妊治療両立支援コース)が拡充され、女性の健康課題全般を対象とするかたちに改定されました。
この助成金は、少子化対策や女性の社会進出を背景に、女性がより安心して働き続けられる職場環境の整備を支援することを目的としています。
不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース
【対象事業主】
中小企業の事業主が対象です。
本助成金における「中小企業」の範囲は、業種ごとに以下のいずれかの要件を満たす企業とされています。
・小売業(飲食業含む):資本金または出資額が5,000万円以下、または常時雇用する労働者数が50人以下
・サービス業:資本金または出資額が5,000万円以下、または常時雇用する労働者数が100人以下
・卸売業:資本金または出資額が1億円以下、または常時雇用する労働者数が100人以下
・その他:資本金または出資額が3億円以下、または常時雇用する労働者数が300人以下
【支給要件】
(1)支援制度の導入
以下の3つの支援制度のいずれかを、労働協約または就業規則などに規定し導入すること。
制度の利用対象者には、雇用保険被保険者以外も含めることが可能です。
・不妊治療
不妊治療と仕事を両立させるための支援制度
・女性の健康課題対応(月経)
月経に起因する症状への対応を図るための制度
・女性の健康課題対応(更年期)
更年期における心身の不調への対応を図るための制度
各制度について、労働者が5日(回)以上利用した実績が必要です。
(2)労働者への周知
導入した支援制度の内容、利用手続き、賃金の取扱いなどを労働協約または就業規則に規定し、労働者に周知していること。
常時10人未満の労働者を雇用する事業主で、就業規則の作成・届出を行なっていない場合は、導入した各制度の内容を明文化し、全労働者に周知することが必要です。
※各制度の規定整備は、対象労働者による各支援制度の利用開始日の前日までに実施。
※各制度は、雇用形態を問わず利用できるものであることが必要。
(3)両立支援担当者の選任
労働者からの相談に対応する両立支援担当者を、制度利用開始日の前日までに選任していること。
不妊治療:不妊治療と仕事との両立支援を図るための業務を担当し、労働者からの相談に応じること
月経:月経に起因する症状への対応と仕事との両立支援を図るための業務を担当し、労働者からの相談に応じること
更年期:更年期における心身の不調への対応と両立支援を図るための業務を担当し、労働者からの相談に応じること
両立支援担当者は、事業主または雇用する労働者のなかから選任することが基本ですが、社会保険労務士、産業医など外部の専門家(保健師、看護師など)を選任することも可能です。
(4)制度の利用実績
対象労働者が、両立支援のためのいずれかの制度または各制度を組み合わせて、当該制度利用開始日から1年以内に合計して5日(回)以上利用していること。
対象労働者1人が各制度を5日(回)以上利用することが必要です。
制度は時間単位の利用も可能ですが、5日(回)に分けて利用する必要があります。
同日に同一の制度を利用した場合(例:休暇制度を始業時に1時間、就業時に1時間ずつ利用など)は1回とカウントしますが、同日に別々の制度を利用した場合(例:在宅勤務などと短時間勤務制度を利用など)はそれぞれ1回とカウント(上記の例の場合は計2回とカウント)します。
(5)雇用保険被保険者であること
対象労働者が、制度利用開始日から申請日において、雇用保険被保険者として継続して雇用されていること。
【支給額】
支援制度ごとに、1事業主あたり1回限り以下の金額が支給されます。
・不妊治療:30万円
・女性の健康課題対応(月経):30万円
・女性の健康課題対応(更年期):30万円
※最大で合計90万円の支給が可能です。
【申請手続き】
申請期間は、対象労働者が各制度を合計5日(回)利用した日の翌日から2カ月以内です。
各制度について、1事業主あたり1回限りの支給となります。
※最初の対象労働者が生じた場合に、不妊治療、月経、更年期の各制度1回限り支給します。
【終わりに】
不妊治療や女性の健康課題に対応した職場環境の整備は、企業のイメージアップにつながり、従業員の長期的な勤務を促進することが期待できます。
人手不足が課題となるなか、従業員の離職率を低下させ、企業内で培われた経験を活かすことは、企業と従業員双方にとって大きなメリットになります。
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※本記事の記載内容は、2025年5月31日現在の法令・情報等に基づいています。