司法書士法人 宮田総合法務事務所

属人化の防止にも!『社内FAQ』を導入して活用する方法

25.06.10
ビジネス【人的資源】
dummy

特定の社員しかわからない業務や知識がある状態、いわゆる「業務の属人化」は、担当者が不在になると業務がストップしてしまったり、ノウハウが蓄積されず生産性が低下してしまったりするなど、企業にとって大きなリスクとなります。
そこで、属人化を防ぎ、仕事の効率化や生産性の向上を図る手段として導入したいのが、「社内FAQ」です。
社員の誰もが社内FAQにアクセスできるようにすることで、属人化の解消につなげることができます。
業務の標準化には欠かせない、社内FAQを導入する方法を解説します。

dummy

社内FAQの導入で得られる会社側のメリット

社内FAQとは、社員が日々の業務で抱える疑問や質問とその回答をまとめ、社内で共有するための情報システムです。
業務に関する知識やノウハウ、社内規定、各種手続きなど、社員が知りたい情報を網羅的に掲載することで、社員は必要な情報をいつでもどこでも簡単に入手できます。
最近では、社内FAQのシステムツールに、AIを搭載したものも増えてきました。

では、社内FAQを導入することで、会社側にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
主なメリットは業務の効率化と属人化の解消、そして、社員の自己成長の促進です。
疑問や質問が生じた際に、社員の誰もが社内FAQを検索することで迅速に解決策を見つけられるため、同僚や上司に時間を割いてもらう必要がなくなるため、両者の業務効率が向上します。

また、特定の社員しかわからない業務や知識をFAQに集約することで、担当者が不在の場合でも、他の社員がFAQを参照することで業務を遂行できるようになり、業務停止のリスクを軽減できます。
ノウハウが組織全体に共有されることで、担当者変更時の引継ぎもスムーズになるでしょう。
誰もが組織のノウハウを参照できるようにすることで、担当者による回答のばらつきを抑え、顧客対応の品質も向上します。

さらに、FAQを参照することで社員がみずから問題解決に取り組むようになり、自己解決能力も向上します。
新人教育や研修においても、FAQを活用することで効率的に知識を習得できるため、育成コストの削減にもなるといわれています。
FAQへの質問や回答を通じて、社員同士の相互理解が深まることになるため、組織のチームワークにもよい影響を与えます。

作成時の注意点と作成後に取り組むこと

多くのメリットのある社内FAQですが、作成する際には、まず目的と範囲を明確にする必要があります。
最初に、社内FAQで解決したい課題や対象範囲を具体的に定めることが重要です。
もし、課題や範囲を定めずにあいまいなままにしてしまうと、FAQが膨大になりながらも、肝心の答えが見つからないという事態を引き起こしかねません。
「どんな困りごとを、どう解決するか」を最初に具体的に絞り込むことで、必要な情報がしっかり網羅された役立つ社内FAQをつくることができます。

次に、社員からの質問、過去の問い合わせ履歴、業務マニュアルなど、あらゆる情報源からデータを収集する必要があります。
集めた情報を整理し、適切なカテゴリに分類することで、FAQの使いやすさを向上させます。
質問と回答を作成する際には、具体的かつわかりやすい記述を心がけましょう。

そして、社内FAQが完成したら、社員に周知することが大切です。
せっかくFAQを構築しても、社員がその存在を知らなければ利用されることはありません。
社内ポータルサイトやグループウェアなど、社員が日常的に使うツールを使って周知・公開することが大切です。

また、FAQは常に最新の情報に更新しておかなければいけません。
周知とあわせて、社員からのフィードバックを募りましょう。
フィードバックされた情報をもとに改善を重ねることで、より役立つ情報源となります。

社内FAQを導入するためのツールとしておすすめなのは、社内FAQに特化した専用のシステムツールです。
専用のシステムツールは、FAQ作成・管理の機能を持ち、効率的な運用が可能なため、多くの企業で採用されています。

一方で、導入後に活用できていない企業が多いこともわかっています。
社内FAQは前述した通り、常に改善が必要な情報システムです。
情報が古くなると、社員は社内FAQを信用しなくなり、利用率が低下してしまいます。
常に最新の情報に更新するような仕組みとあわせて、社内FAQを導入することが大切です。

また、社内FAQの利用を面倒に感じる社員の存在も想定されるため、利用促進のための施策も考えておきましょう。
社内FAQは、業務の効率化や属人化の解消、社員の自己解決能力向上など、企業にとって多くのメリットをもたらしますが、導入にあたっては、社員への周知と利用促進を徹底することが重要です。


※本記事の記載内容は、2025年6月現在の法令・情報等に基づいています。