司法書士法人 宮田総合法務事務所

家族信託で「教育資金一括贈与」を代用できるか?

25.06.01
暮らし・人生にお役に立つ情報
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お子さんやお孫さんがいらっしゃる方の中には、「教育資金一括贈与(直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税)」の活用をご検討の方もいらっしゃるでしょう。

そこで今回は、「教育資金一括贈与」(教育資金贈与信託とも言う)のメリットとそのメリットを「家族信託」で代用できるか、について簡単に解説します。

 

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<「教育資金一括贈与」のメリット>

なぜ「教育資金一括贈与」を活用すると良いのか、この制度の代表的なメリットについては、下記の2つが挙げられます。

 

(1)相続税対策として有効

一般的な贈与では(暦年贈与制度を利用する場合)、受贈者1人あたり年間金110万円までが非課税となりますが、それを超える金額を贈与する場合は、贈与税の申告と納税が必要になります。

一方、「教育資金一括贈与」の制度を使えば、より高額な金銭を非課税で子や孫にまとめて贈与することができます。

したがいまして、相続税対策として有効な手段になり得ると共に、子や孫の教育費として活きたお金の使い方ができます。

 

(2)贈与者の判断能力の低下に影響を受けない金銭給付

教育資金は、あらかじめ信託銀行等の受託者に信託しておき、教育資金の給付は、直接「受託者」と「受益者」(子や孫)との間だけで行われます。

したがいまして、贈与者の判断能力が低下・喪失をしても、受益者の教育資金の給付については、全く支障なく行うことができます

つまり、贈与者側の認知症対策の一つになると言えます。

 

★「教育資金一括贈与(教育資金贈与信託)とは」についてはこちら↓↓↓
     https://legalservice.jp/shintaku/29646/

<そもそも「教育資金」の給付は常に非課税!>

これは、あまり知られていないし、触れられていない記事も多いですが、本来、自分の子や孫(直系卑属)に対しては扶養義務がありますので、子や孫が成人しているかどうか、生計を同じくしているかどうか等を問わず、またその金額の大小に限らず、子や孫の教育費を支払うことは常に非課税です(※)。

 

(※)さらに言うと、教育資金に限らず、生活費、医療費など様々な費用を給付又は直接支払っても、贈与税課税の概念は生じません。これは、地方の大学に通うために一人暮らしをしている大学生の子に親が仕送りをしたり、老親の入所費用を子が支払ってもあげても、贈与税の課税対象にならない理屈と同じです。

 

 

<「教育資金一括贈与」を「家族信託」で代用する!>

 

実は、前述の「教育資金一括贈与」のメリット(2)については、家族信託の契約でも代用可能です。

つまり、教育資金を贈与する者(一般的には高齢の祖父母や両親)を委託者兼受益者、その子などを受託者とし、2者間で信託契約を締結して、金銭の管理を任せます。

一般的には、その信託金銭は、受益者の老後の生活・介護資金として、受託者から受益者に給付や支払い代行をしてもらうことを想定して信託契約書に明記しますが、さらに受益者の扶養家族(子や孫)に対する金銭給付の権限も信託契約書に明記することで、受託者は合法的に受益者以外の者に信託金銭を給付できることになります。

しかも、信託契約書に記載する受益者の扶養家族に対する金銭給付の内容については、「教育資金」に限定されることはありません。

つまり、「家族信託」の仕組みを活用すれば、受益者の健康状態・判断能力の有無に関わらず、受益者の扶養家族に関する教育資金に限定されず、子や孫の生活費、医療費、引越し費用、結婚費用、出産費用などを含む扶養家族に関して発生する必要経費(実費)を信託金銭から支払えることになります。

まさに、活きたお金の使い方ができることになりますし、結果として生前贈与とは別の相続税対策の施策にもなり得ることになります。

 

 

以上、今回は、「教育資金一括贈与」のメリットとそのメリットを「家族信託」で代用・享受できるか、について簡潔に解説しました。

 

当事務所は、東京都内はもちろん、神奈川・千葉・埼玉など東京近郊に限らず、Zoom等のリモート打合せも駆使しながら、全国エリアで対応しております。

 

「教育資金一括贈与」の代用に限らず、認知症等による資産凍結対策、争族対策などで「家族信託」をご検討されている方は、司法書士・行政書士が多数在籍する【司法書士法人 宮田総合法務事務所】までお気軽にご相談ください。