司法書士法人 宮田総合法務事務所

認知症対策に有効な4つの施策をご紹介

25.05.15
暮らし・人生にお役に立つ情報
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認知症や大病により判断能力が著しく低下すると、自分で財産管理ができなくなるばかりか、財産の処分などの契約行為ができなくなります。

超高齢社会においては、この“資産凍結”のリスクが大きな問題となっており、いわゆる“老い支度”や“終活”においては、この認知症による資産凍結対策が大きなテーマとなります。

そこで今回は、認知症対策として有効な4つの代表的施策を簡単にご紹介します。

 

【認知症対策に有効な4つの代表的施策】

(1)家族信託
家族信託は、信頼できる家族(子や孫、甥姪)に財産管理を任せるための制度です。

認知症のリスクに備えて、あらかじめ信託契約を結んでおくことで、本人の健康状態に左右されずにスムーズな財産の管理・運用・処分してもらうことができます。
家族信託を利用することで、本人が意思決定できなくなった場合でも、「受託者」となった家族が代わりに現預金を動かしたり、不動産や有価証券類を換価処分することができますので、生活費や医療費、介護費用などの支払いが滞ることなくできて安心でしょう。

(2)任意後見
任意後見は、認知症になる前に信頼できる後見人を自ら選び、あらかじめ契約を締結することにより財産管理や身上監護(入院・入所手続き、介護プランの策定などの手続き)をお願いしておく仕組みです。

任意後見受任者は、本人の判断能力が低下した際に、家庭裁判所の手続きを経て任意後見契約を発動させ、正式に「任意後見人」として本人のための財産管理や生活支援を行うことができます。
自分が信頼できる家族・親族や専門職を相手に任意後見契約を結んでおくことで、将来その任意後見受任者が確実に就任してもらえるので、誰が後見人に選ばれるか不確定な法定後見と比べて、より安心できる制度と言えます。

(3)金融機関の代理人届出
金融機関によっては、預金の払戻・送金手続きを口座名義人以外の者が代理で行える「代理人届出」の制度があります。
認知症が進行したり、大病・事故などで、本人が銀行窓口で預金の払戻手続きを行うことが困難になった場合に備えて、あらかじめ信頼できる家族・親族を「代理人」として登録しておくと、スムーズに預金の払戻や送金が可能になります。

(4)生前贈与
生前贈与は、元気なうちに財産を他者に無償で渡す行為です。

自分の財産を家族(配偶者や子や孫、甥姪)に贈与することにより、自分の財産ではなくなりますが、本人の判断能力が低下した場合でも、財産を受け取った家族(受贈者)がその財産を扶養義務に基づいて、本人のために給付してあげることで、実質的に資産凍結対策の機能も持てることになります。

生前贈与は、一般的には、相続税対策の一環として将来の相続税の負担軽減を目的として実行されることが多いですが、このように贈与税の非課税枠の範囲内で本人の財産を家族に移し、本人の資産凍結対策として活用することも選択肢になるでしょう。

 

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・家族信託による金銭管理と信託口口座 【預金凍結対策】

・家族信託など老親の認知症による‶預金凍結”対策のまとめ

 

 

以上、今回は認知症対策として有効な4つの代表的施策を簡単にご紹介しました。
認知症対策としてこれらの施策を活用することで、本人や家族が安心して生活を続けられる環境を整えることができます。早めの準備が、将来のリスクに備える大切なステップです。

家族信託・任意後見・生前贈与などの認知症対策に関してご不安な方・お悩みの方・お困りの方は、お気軽に司法書士・行政書士が多数在籍する【司法書士法人 宮田総合法務事務所】までご相談ください。