司法書士法人 宮田総合法務事務所

上場株等の有価証券を家族信託する際の“株式信託”の注意点

25.02.04
暮らし・人生にお役に立つ情報
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高齢の親世代は、証券会社に上場株式や投資信託、国債、外国債、社債等の有価証券類をお持ちの方も多く、金融資産・有価証券類の“資産凍結対策”をご検討されている方からのご相談が増えております。
そこで今回は、上場株式等の有価証券を家族信託する場合(これを「株式信託」と言います)の注意点について簡潔にご紹介します。

 

<上場株・投資信託等の有価証券を家族信託する際の5つの注意点>

 

(1)  家族信託に対応できる証券会社に口座を作る必要がある

有価証券類を信託財産とする信託契約書を作成しても、現在預け入れている証券会社において、受託者の管理下に置ける“信託口証券口座”を作成できるとは限りません。

家族信託に対応できる証券会社が徐々に増えてきている状況ではありますが、証券業界全体からみれば、まだ少数派なのです。

そこでまずは、今預け入れている証券会社が家族信託に対応しているのかどうか、対応していない場合には、有価証券類の資産凍結対策としてのサービスメニューを証券会社として用意しているかどうかを確認されると良いでしょう。

もし今預け入れている証券会社が家族信託に対応できない場合、対応できる証券会社に「移管」をした上で、その移管先証券会社で“信託口証券口座”を作成することも選択肢に入れる必要があります

 

※有価証券類を「移管」する場合、移管元の証券会社に「移管手数料」を払わなければならない場合もありますので、ご注意ください。ただ、一定の資産規模を超える場合には、移管先の証券会社がその移管手数料を負担してくれるケースもありますので、その辺りの実務的に細かな点は、家族信託・株式信託の実務に精通した法律専門職にきちんと相談すると安心です。



(2)別の証券会社に「移管」できない銘柄もある

証券会社は、基本的に国内の上場株式であればどの銘柄でも取り扱えますが、海外株式や投資信託は証券会社ごとに取り扱える商品銘柄が異なります。

特に、今預け入れている証券会社が運用会社となっている投資信託商品(オリジナル商品)については、他の証券会社に「移管」できないケースも多いようですので、注意が必要です。


★自社株を家族信託するメリットに関する弊所ホームページ記事はこちら ↓↓↓
『経営のリスク対策としての「株式信託(自社株信託)」のメリット


(3)特定口座・NISA口座が持てない

“信託口証券口座”を作成する際、「一般口座」として作成することになり、「特定口座」を持つことはできません。

源泉徴収ありの「特定口座」であれば、証券会社が有価証券類の保有や売買による1年間の譲渡損益、配当金、分配金などについて損益計算を計算し、それに伴う所得税・住民税の源泉徴収又は還付する手続きまでしてくれます。

つまり、自分で確定申告をする必要がないというメリットがあります。

“信託口証券口座”の場合、この「特定口座」を持つことができませんので、売却益等について受益者が確定申告をする必要があります(高齢の受益者に代わって、家族・親族が申告と納税をしてあげることは問題ありません)。

また、投資した金融商品から得られる利益(売却益・配当・分配金など)が非課税となる「NISA口座」を持つこともできません。
 

※ 配当益については、当該会社から配当される時点で自動的に源泉徴収されますので、配当を受け取っているだけでは確定申告は必要ありません。つまり、有価証券の各銘柄を売買しなければ、確定申告についての手間が生じる訳ではありません。

 

 

(4)受益者連続型信託には対応できない
“信託口証券口座”を作成する前提としての信託契約公正証書は、あくまで委託者兼受益者の死亡で終了する、いわゆる“一代限り”の信託の設計でなければならないという制約があります。

したがいまして、自宅や収益不動産、老後の非常資金の管理のための信託契約は、受益者連続型にするが、有価証券類を信託財産とする信託契約は、もう一つ別の信託契約を締結し、一代限りの設計にするケースも多いです。

 

★“株式信託”と事業承継対策に関する弊所ホームページ記事はこちら ↓↓↓
家族信託を活用した「株式信託」という事業承継対策とは?


(5)保有期間の計算がリセットされる
上場株式を家族信託で管理する場合、原則として株主名簿には「受託者」名義で新しく登録されます。
高齢の親世代は、有価証券類の「所有者」から有価証券類を信託財産とする信託の「受益者」という立場に変わるとは言え、実質的には有価証券類の持ち主の立場は変わりませんが、信託契約締結前までの保有期間がリセットされて長期保有に伴う株主優待が受けられなくなるリスクがありますので、注意が必要です。



以上、今回は、上場株・投資信託等の有価証券類を家族信託する場合、いわゆる“株式信託”をする場合の注意点をご紹介しました。

この他にも、「家族信託」に関すること全般について、ご不明な点やご不安な点・お困りな点等がございましたら、一度当事務所にお気軽にご相談ください。

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