司法書士法人 宮田総合法務事務所

相続分譲渡の場合の被相続人の債務の返済義務は?

25.01.07
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相続発生後の遺産分割手続きの際に、「相続分の譲渡」という選択肢を知っておくことは大変有効です。

そこで今回は、相続分の譲渡をした場合における被相続人の負債(相続債務)の取扱い・返済義務について簡潔にご説明します。

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相続分の譲渡とは、プラスの遺産とマイナスの遺産(債務)を含む法定相続人としての包括的な持分(権利)を他人に譲渡する行為を指します。

譲渡する相手は、他の法定相続人でも、法定相続人以外の第三者でもかまいません。また譲渡は、有償でも無償でも構いません。

相続分譲渡が行われた場合、法定相続人としての地位(権利義務)を離脱することになりますので、遺産分割協議に参加することはなくなりますし、被相続人の債務(相続債務)の返済義務も相続分の譲受人に移転することになります。

 

しかし、この相続債務の移転は、譲渡人と譲受人の当事者間においてのみ効果を生じます。

言い換えると、債権者に対しては相続債務が移転したとの効果を主張することができず、債権者から譲渡人が支払請求を受けると、譲渡人は相続債務を支払わなければならないことになります。
もちろん、譲渡人は、事後的に譲受人に対して、返済分の求償を求めることはできますので、譲渡人にとって大きなリスクが残るかどうかはケース・バイ・ケースと言えます。

 

結論としては、相続分の譲渡については、相続債務の有無を確認・把握すること、もし相続債務がある場合はその額がどのくらいかをきちんと見極めてから相続分の譲渡を検討すべきでしょう。そして、相続分の譲渡をする場合は、それらの遺産全体の状況を踏まえ、譲渡する相手に対して有償・無償かも含めしっかりと条件を詰めるべきでしょう。