宮田総合法務事務所

「遺留分」とは? 代表的な遺留分対策も紹介

24.07.23
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みなさんは「遺留分」をご存知でしょうか。

遺留分とは、法定相続人が被相続人の遺産について法律上最低限の受け取りを保証された権利を指します。

財産の所有者は、自分の遺言書によって、遺留分にとらわれずに自由に遺産の承継先(受遺者)を指定することができます。

その一方で、遺留分を満たす遺産をもらえない法定相続人は、その遺留分相当に満つるまでの金銭をその受遺者に対して請求することができます。

つまり、遺留分を侵害するような資産承継を希望する方は、将来相続トラブルが発生するリスクを踏まえて、遺言内容を慎重に検討する必要があります。

そこで今回は、遺留分対策となる代表的な施策について、ご紹介します。

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【遺留分対策となる代表的な施策】

★生前贈与★
「生前贈与」は、財産の所有者が自分の存命中に他人に財産を無償で譲渡する施策です。

生前贈与をすることにより、将来の遺産を減少させることができますので、相続税対策になるだけではなく、遺留分の対象財産も減らす効果をもたらす可能性があります。

ただし、下記の①から③の贈与は、遺留分相当額の計算において算入されてしまいますので、注意が必要です。

   ①相続開始前「1年以内」の相続人以外への生前贈与

   ②相続開始前「10年以内」の相続人への特別受益にあたる生前贈与

    (婚姻や養子縁組のため、又は生計の資本としての贈与)

   ③遺留分権利者に損害を与えることを知りながら行われた生前贈与

 

つまり、これから遺留分対策として生前贈与を実行しようと考えている方は、贈与税等の税務的な見地も踏まえつつ、遺留分の算定対象財産に組み入れられないように注意しながら、誰に(受贈者)、何を(贈与財産及び贈与額)を、いつ(贈与時期)、どのように(回数)贈与をするかを、専門家に相談しながら実行するのが得策です。

 

★生命保険の活用★
「生命保険」の死亡保険金は、受取人として指定された者の固有の権利とされ、法律上「遺産」には含まれませんし、遺留分対象財産にも算入されません。したがいまして、現預金として遺産を遺すよりも

生命保険を活用することで、遺留分対策(相続税対策や納税資金対策も)として有効となり得ます。

特定の相続人に多額の金融資産を遺したい場合には、生命保険を活用することで遺留分を侵害せずに、効果的に遺産の承継が可能です。

ただし、生命保険に加入するには、どの保険会社のどのような保険に入るべきか、また、保険料の支払い方法や保険金の受取方法などを保険のプロに相談すべきですので、法務・税務の専門家と保険の専門家の意見を聞きながら万全の遺留分対策を目指したいものです。

 

★養子縁組★
「養子縁組」もまた遺留分対策として有効な施策になります。養子縁組をおこなうことにより、実質的に実子が増えたのと同じ効果、つまり法定相続人が増えることになります。法定相続人が増えるということは、それだけ子一人当たりの法定相続分が減ることになりますし、その結果、一人当たりの遺留分も薄まる(遺留分として遺産に対して請求できる権利持分が減る)ことになります。

ただし、養子縁組には、新たに親子関係が生じるという重要な手続きですので、単に遺留分対策という動機だけで養子縁組をすることは問題があります。養子も実子と同じように、親の扶養義務を負うこと等しっかりと養子縁組に伴う責任や負担についても理解した上で進める必要があります。

 


以上、今回は遺留分及び遺留分対策となる代表的な施策についてご紹介しました。

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