経営に役立つ「ランチェスター戦略」とは ≪その3≫
成功例は「ゴリラの鼻くそ」
ここで、いくつかランチェスター戦略を採り入れて
成功した企業や商品の例をご紹介しましょう。
「ゴリラの鼻くそ」という
ユニークな名前のお菓子をご存知でしょうか。
名前に反して、
良質な黒大豆を使った上品な味の甘納豆です。
このお菓子は島根県の小さなお菓子メーカー、
有限会社岡伊三郎商店が生み出した商品です。
本来、お菓子ならばスーパーや
コンビニなどが主な販売チャネルでしょう。
しかし彼らが選んだのは動物園のおみやげ屋さんでした。
実績もないネームバリューもない、
弱者だった彼らにとって幸いだったのは、
業界の慣習にのっとった通常の販路を持たなかったことです。
彼らは自然と販路を差別化、見直すことで、
動物園という独自の販売先を見つけ、自ら売り込みました。
全国の動物園で販売したこのお菓子は、
2013年現在で400万袋を超える大ヒット商品となっています。
岡伊三郎商店はランチェスター戦略を
無意識に採り入れて成功した企業です。
その一方で、弱者の戦略を意図的に活用し成功した企業もあります。
板橋にあるスポーツ用品店は、
外観はお世辞にもキレイとは言いがたい上に看板もありません。
道に面した窓に「○○スポーツ」と書いた貼り紙があるだけです。
しかしこのお店、個人経営で年間億単位を売上げています。
スポーツ店を経営するにあたって
一般のお客様への販売だけでは立ち行かないと考えた店主は、
近隣の学校へと営業を行いました。
その結果、学校で使用する体育着やジャージなど、
スポーツ関連のアイテムを一手に引き受けることになりました。
受注すれば大量の商品をさばける上に毎年更新されます。
自社の強みをどこに発揮するかと分析した結果、
地域やジャンルを絞り込んだ「近隣の学校」を
自店の戦いの舞台としたのです。
成長する企業は意識的、無意識にかかわらず
必ずランチェスター戦略を採り入れています。
繰り返しになりますが、
弱者でも正しい戦い方を選べば強者にも勝てる、
これがランチェスター戦略なのです。
次回は「弱者だからこそできる戦い方 5つの視点」というタイトルの内容をご案内します。