生きがいラボ株式会社

医療の接遇は『聴き方』である

14.02.09
業種別【医業】
dummy
元・東京大学接遇向上センター顧問の近藤和子さんは、
現在病院や介護施設などで接遇研修を行っていますが、
医療スタッフでも介護スタッフでも、
接遇の要諦は「カウンセリングマインド」にある、
とおっしゃいます。
dummy
選ばれるクリニックへのナビゲーション

そもそも医療において接遇とは何なのか。
近藤和子さんの主宰するマザーリング・
ライフマネジメント研究所の医療接遇テキストが
インターネットで公開されていますので、
その一部を引用してみます。

それによれば、医療における接遇とは、
「外来受付から退院(元気になられてからの退院、
またはお亡くなりになったときの看取り)まで、
患者を迎えてから送り出すまでの一連の行動と態度を含む
総合コミュニケーション力」とされています。

コミュニケーション力は言うまでもなく、
「話す」能力と「聴く」能力から成り立ちますが、
医療現場ではどのようなコミュニケーション力が求められるのか。
近藤さんは次のように説明しています。

「相手のいうことを受容・共感・傾聴することで、
患者・家族の多様な感情に対処し、信頼関係維持につなげるもの。
つまり患者・家族が『この医師なら信頼できる。安心して話せる』
と思ってもらえる雰囲気をもつこと」

「受容・共感・傾聴」…「話す」ことよりも
むしろ「聴く」ことに重点が置かれています。
ドクターなら、患者さんが話しているときは
パソコンのモニターから目を離し、
患者さんの目を見て聴く姿勢が求められます。

看護師や事務職員なら仕事の手をちょっと止め、
顔を上げて患者さんと目を合わせる。
聴く側の姿勢によっても、
話し手=患者さんの満足度は異なります。

苦情めいた話も、聴く側が前のめりの姿勢で傾聴すれば、
カタルシス効果抜群でしょう。

近藤さんによれば、
これはカウンセラーの基本的なスキル。
カウンセリングはカウンセラーが話したり、
問題を解決したりするのではなく、
クライアントの話を引き出して、
クライアントが自分で答えを見つける手助けをするもの。

クライアントが話しやすいよう先を促すのが要諦です。
医療の接遇もまさにこのスキルが応用できるそうです。


次回の選ばれるクリニックへのナビゲーションは、
「クリニックでできる接遇トレーニング」をお届けします。


[プロフィール]
中保 裕子(なかほ・ゆうこ)
医療ライターとして全国のがん医療、地域医療の現場を中心に医療者、患者、家族へのインタビューを行うほか、新聞広告等での疾患啓発広告制作、製薬企業等のマーケティング調査の実績も多い。有限会社ウエル・ビー 代表取締役。 
ホームページ  
自主運営サイト「女性のための乳がん情報サイトCandle Room」
ブログ