生きがいラボ株式会社

もし診療中に地震が起きたら? 歯科医院の防災対策と災害時の対応

24.03.05
業種別【歯科医業】
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地震などの天災はいつ起きるか予測することができず、歯科医院の診療時間中に大地震が起きることも十分考えられます。
大地震が起きれば、チェアユニットやレントゲン装置などが移動したり、棚から落ちた薬品の容器が破損したりする可能性もあります。
患者やスタッフを守るためには、日頃の防災対策と、災害発生時や発生後の対応をマニュアル化しておくことが大切です。
歯科医院における防災対策と、マニュアルの策定に必要な内容について、確認していきます。
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棚や歯科医療機器の固定が怪我を防ぐ

地震大国の日本では、常に大地震の脅威にさらされています。
震度6強~7程度の大規模地震が発生した際には、国民の生活に甚大な被害を及ぼす可能性があります。
しかし、大地震が起きても、日頃から防災意識を高く持って必要な備えを行なっておけば、被害を最小限に食い止めることができます。

歯科医院における地震対策として有効な手法の一つは、棚や歯科医療機器の固定です。
近年の地震による負傷者の30~50%は、家具類の転倒・落下・移動によるもので、もし、家具が暖房器具の上などに倒れてしまうと、火災などの二次災害を引き起こす危険もあります。

歯科医院でも大地震の発生時には、薬品の置かれた棚やチェアユニット、レントゲン装置などが転倒したり移動したりする可能性があります。
そうならないように、棚は壁に固定し、さらに複数の『つっぱり棒』で天井と固定します。
歯科医療機器は可能な限りボルトやチェーンで壁や床に固定しておきましょう。
棚のガラスには、割れて飛び散らないように、飛散防止テープを貼っておくのも効果的です。

また、医院に倒壊の危険があれば、その場から避難しなければいけません。
ヘルメットやラジオ、救護品や非常食といった防災用品などはすぐに持ち出せるように一カ所にまとめておきましょう。
ビルやモールなどの施設にテナントとして入っている医院であれば、避難経路や避難先、管理会社への連絡手段、エレベーターの復旧方法などもあらかじめ確認しておく必要があります。

診療中に大地震が発生した際の対応

万が一、診療中に大地震が発生した場合は、患者やスタッフ、自分の身を守ることを第一に考えます。
治療中であれば、手を止めて、ドリルや装着前の補綴物などは患者の口腔内から取り出したうえで、横になっている患者を起こして、一緒に机の下などの安全なスペースに避難しましょう。
このとき、火災が起きないよう、アルコールランプに火が点いていれば消し、酸素ボンベの元栓も締め、ブレーカーも落としておきます。

大切なのは、防災マニュアルなどに沿って、あらかじめ誰がどの役割を担うのかを決めておくことです。
リーダーとなって指示を出す係、患者対応の係、避難誘導の係、火を消してブレーカーを落とす係などを決めておくことで、大地震にもスムーズに対応することができるでしょう。

また、大地震の発生直後は、余震や津波、土砂崩れ、地盤沈下などが起こる可能性があるため、できるだけ最新かつ正確な情報を集めることが重要です。
医院のなかに留まるべきなのか、それとも避難するべきなのか、ラジオやテレビなどで現状を把握してから、判断を下しましょう。

地震直後は、院外のスタッフの安否も確認しておく必要があります。
電話やメール、災害掲示板などを使って、スタッフの置かれている状況を把握しておきましょう。
連絡が取れない場合の対応も考えておく必要があります。

事前の備えが明暗を分けることもある

震災の規模によっては、電気や水などのライフラインが止まってしまう可能性があります。
地震発生からある程度の期間を経ても、電気や水道が寸断されたままだと診療はできませんし、歯科医療機器が破損してしまうと診療再開までさらに時間がかかります。

休診期間中も生活費はかかり、破損した歯科医療機器は再度購入しなければいけません。
一般的な保険では地震による建物や医療機器の損壊は補償されないものが多いですが、なかには医療機関専用の火災保険に地震保険を追加できたり、事業用の地震保険に加入できたりするものもあります。
加入できる条件や補償内容もさまざまですので、状況により加入を検討してもよいかもしれません。

また、被災後にできるだけ早く診療を再開させるためにも、カルテや診療データなどのバックアップは常時取っておきましょう。

『万が一』の備えが状況を大きく変えることもあります。
地震などの災害はいつでも起きるものという考えのもと、災害マニュアルを策定し、災害の発生時には慌てずにそのマニュアルに沿った行動をすることが大切です。


※本記事の記載内容は、2024年3月現在の法令・情報等に基づいています。