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盗撮を取り締まる『撮影罪』が新設! 処罰の対象となる行為とは?

23.11.28
ビジネス【法律豆知識】
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2023年7月13日に、盗撮などを取り締まる『撮影罪』が施行されました。
正当な理由のないまま、他人の体の性的な部位や行為、下着などを撮影したり、16歳未満の子どもの性的姿態等を撮影したりすると、この撮影罪に問われる可能性があります。
これまで、盗撮などは各都道府県の迷惑防止条例や、建造物侵入罪などで取り締まりが行われてきました。
しかし、今後は全国一律で撮影罪により処罰されることになります。
撮影罪の成り立ちや、写真を撮る際に気をつけたいことなどを説明します。
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撮影罪が新設された背景にあるスマホの普及

カメラ付きのスマートフォンの普及などによって、常時、誰でも気軽に写真を撮影して記録に残すことができるようになりました。
しかし、気軽に撮影できるがゆえに、盗撮の件数も増加傾向にあります。
警察庁の発表によると、2022年の盗撮の検挙件数は5,737件で、過去最高を記録しました。
これは10年前の2倍以上の数字になります。
また、5,737件のうち、スマートフォンによる盗撮が4,534件と8割近くを占めていることも明らかになっています。

これまで、こうした盗撮は各都道府県の迷惑防止条例などで取り締まりが行われてきました。
たとえば、東京都や大阪府の迷惑防止条例では、盗撮を行った者に対して、1年以下の懲役または100万円以下の罰金、常習者には2年以下の懲役または100万円以下の罰金を科す法定刑が定められていました。

しかし、各都道府県によって罰則が異なるため、どの都道府県で盗撮されたのか特定しないと処罰できないという問題がありました。
たとえば、都道府県をまたいで運行する航空機のなかでの盗撮は、盗撮された場所を特定できず、処罰することができません。
こうした問題を解決するために、撮影罪を規定する『性的姿態撮影等処罰法』(正式名称『性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律』)が2023年6月16日に成立し、6月23日に公布されました。

撮影罪の施行は2023年7月13日なので、これ以降は盗撮された場所を問わず、盗撮した者は撮影罪により、全国一律で処罰されることになります。
今後は日本の航空機内で行われた盗撮も撮影罪の適用対象になり、外国の航空機内の盗撮も日本の領域内で盗撮した者が日本国民の場合に限り、撮影罪が適用されます。

撮影罪の処罰対象となる行為を把握しておく

撮影罪は正式名称を『性的姿態等撮影罪』といい、撮影罪が成立するのは、正当な理由のないまま「性的姿態等」を撮影した場合になります。
性的姿態とは性的な部位、身につけている下着(性的な部位を覆っている部分)、わいせつな行為・性交等がされている間における人の姿が該当します。
相手に断りなく黙って撮影する盗撮はもちろんですが、アルコールで酔わせたり、脅迫などで脅したりするなどして、相手が同意できない状態にして、性的姿態等を撮影しても撮影罪に問われます。
また、相手に「性的な行為や格好ではない」と思わせたり、「ほかの人には見せない」と信じ込ませたりして性的姿態等を撮影する行為も撮影罪の対象になります。

そして、たとえ同意があったとしても、正当な理由のないまま16歳未満の子どもの性的姿態を撮影すると、撮影罪の処罰対象になります。
たとえば、水遊びをしている子どもを親が撮影する分には問題ありませんが、第三者が親の許可なく水遊びをしている子どもを撮影すると、撮影罪に問われる可能性があります。
ただし、撮影の対象が13歳以上16歳未満の未成年の場合は、撮影者が撮影対象者より5歳以上年長である場合に限り、撮影罪の対象になります。
原則、相手の同意があれば、14歳の者を15歳の者が撮影しても問題ないとされています。
これは、交際している未成年同士が同意のうえで撮影するケースなどを考慮しての規定です。

風景を撮影していて、偶然、人物の下着が写ってしまった場合などは、撮影罪に問われることはありません。
しかし、大量に撮影していたり、狙って撮影していたりする場合は、処罰の対象になる可能性があります。

もし、撮影罪に問われると、3年以下の拘禁刑(改正刑法が施行される見込みの令和7年までは懲役刑になると考えておいてよいでしょう)または300万円以下の罰金が科せられます。
さらに、この度の改正では、撮影罪以外にも『提供罪(性的影像記録提供等罪)』や『保管罪(性的影像記録保管罪)』などが新設されました。
性的姿態を撮影した画像を少数の者や特定の者に提供した場合は、提供罪として3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が科せられ、多数の者や不特定の者に提供したり、Webサイトなどで誰もが閲覧できる状態にしたりすると、同じく提供罪として5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金が科せられます。
第三者に提供する目的などで保管していた場合は、保管罪として2年以下の懲役または200万円以下の罰金が科せられます。
ほかにも、ライブストリーミングなどで性的姿態の映像を送信すると『送信罪(性的姿態等撮影送信罪』、撮影罪に該当することを知りながら性的姿態の映像や画像を記録すると『記録罪(性的姿態等記録罪)』に問われる可能性があります。

カメラやスマートフォンなどで写真を撮影する際に大切なのは、盗撮だと疑われないようにすることです。
第三者を撮影するのであれば、事前に相手の許可を取り、もし偶然下着などが写ってしまったらすぐに画像を削除するなど、細心の注意を払いながら撮影を行いましょう。


※本記事の記載内容は、2023年11月現在の法令・情報等に基づいています。