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遺言書を開封する前に! 知っておきたい遺言書の検認手続

23.06.13
ビジネス【法律豆知識】
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ある程度の資産を持っている人であれば、遺言書の作成を検討することもあるでしょう。
また、相続が開始したと同時に、故人の自筆の遺言書が見つかったという場合もあるかもしれません。
遺言書には、『検認』という手続きがあります。
いざ相続が開始したあとに慌てないためにも、どのようなケースで検認が必要なのか、また、どういった手続きが必要なのかについて予め知っておきましょう。
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あくまでも証拠保全のための『検認』

遺言書の保管または発見をした相続人は、遺言者の死亡を知ったあと、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出し、その遺言書の『検認』を請求する必要があります。

遺言書の検認とは、相続人に対して遺言の存在およびその内容を知らせるとともに、遺言書の形状や加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造や変造を防止するための手続きです。
検認を受けることで、家庭裁判所で遺言書の状態が確認されるため、それ以降の偽造や変造を防ぐことができます。

もっとも、検認はあくまでも証拠保全の手続きに過ぎないため、遺言の有効性には影響がありません。
仮に検認を受けなくても、遺言そのものが無効になるわけではなく、たとえ検認を受けたからといって遺言が有効になるわけでもありません。
したがって遺言の有効性に異議がある場合は、検認を受けた後に、遺言無効確認訴訟などの訴訟手続を利用して遺言の効力を争うことができます。

一方、検認が必要となるケースもあります。
遺言書が公正証書以外の方式で作成されている場合、たとえば自筆証書や秘密証書で作成されている場合には、遺言書の保管者は相続の開始を知ったあと遅滞なく、相続が開始した地の家庭裁判所に遺言書を提出して、その検認を受けなければなりません。
また、封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人やその代理人の立会いがなければ開封することができないとされています。
このような法定の手続きを守らず、遺言書を家庭裁判所に提出することを怠って検認を受けなかったり、家庭裁判所外で遺言書を開封したりした場合には、5万円以下の過料を課されるおそれがあります。
特に、遺言書の保管者がこれを隠匿した場合には、相続欠格となるおそれもあるため注意が必要です。

なお、相続法の改正に伴い、自筆証書遺言を法務局で保管する『自筆証書遺言書保管制度』が創設され、2020年7月から運用が開始されました。法務局で保管されている自筆証書遺言については偽造や変造のおそれがないため、検認は不要とされています。


検認手続きは、相続人立会のもと行われる

では、実際に検認を要する際の手続きについて説明します。

まず、遺言書の保管者または遺言書を発見した相続人は、申立てに必要な書類を揃えて、遺言者の最後の住所地あるいは相続開始地の家庭裁判所に、遺言の検認を申立てます。
書類は管轄の裁判所に直接持参することも、郵送することも可能です。
しかし、書類に不備があると何度もやり直すことになるため、よく確認しましょう。
申立てを受け付けた裁判所は、申立人と相続人に対し、検認期日を通知します。
これにより、ほかの相続人も遺言の存在を知ることになります。

検認期日である当日、相続人の立会のもと、家庭裁判所の裁判官が遺言書を開封し、遺言の方式に関する一切の事実を調査して、検認調書を作成します。
その際、裁判官から相続人に対して、遺言が遺言者の自筆であるかどうか、押印が遺言者のものであるかどうかなどが確認されます。
遺言書や印鑑、本人確認書類などの持ち物について事前に裁判所から指示があるので、忘れないように持参しましょう。

検認手続が終われば、遺言書は、検認済証明書を添付して保管者に返却されます。
検認後は、検認期日に欠席した相続人などに対し『検認済み通知』が届きますが、これは検認が完了したことを知らせる通知であり、遺言書のコピーではありません。
また、検認期日に出席した相続人であっても、検認申立人以外の相続人に遺言書のコピーが配布されることはありません。
申立人以外の相続人がコピーを希望する場合は、直接申立人に依頼することが大切です。

先述した自筆証書遺言書保管制度を利用した場合だけでなく、公正証書遺言が残されている場合にも、遺言書の検認手続は不要となります。
残された財産の分け方に関して遺言書があるからと安心する前に、このような検認という手続きがあることを理解し、もしものときに備えることをおすすめします。


※本記事の記載内容は、2023年6月現在の法令・情報等に基づいています。