生きがいラボ株式会社

職場を守る労働安全・労働衛生コンサルタントとは

23.04.11
ビジネス【労働法】
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長時間労働の常態化や人間関係の悩みによるメンタルヘルスの悪化、リモートワークにおける孤立化など、近年、働く人を取り巻く環境ではさまざまな問題が指摘されています。
これらの問題を解決する存在として、注目されているのが『労働安全・労働衛生コンサルタント』です。
今回は、資格の概要や活用のメリットなどを紹介します。
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労働安全・労働衛生コンサルタントとは

労働安全・労働衛生コンサルタント とは、『労働安全コンサルタント』と『労働衛生コンサルタント』をつなげた名称です。
厚生労働省が認める国家資格であり、約50年の歴史があります。
企業内で安全衛生に関する専門人材を確保するのがむずかしい中小企業に向けて、社外の専門家の知見を利用しやすくすることを目的に設立されました。

労働安全コンサルタントと労働衛生コンサルタントは、いずれも労働環境の安全・衛生の状況を確認し、必要に応じて改善策などのアドバイス・導入支援を行います。
日進月歩の技術革新によって、労働環境もまた日々変化していきます。
労働災害を防止し、適切な安全対策を講じるためには、専門的な知識や情報を提供する人材の助けが必要不可欠です。
また近年では、リモートワークによる孤立化や各種ハラスメント、過重労働などの問題から、働く人のメンタルヘルス、広い意味での衛生環境の向上なども重要な課題となっています。

これらのさまざまな課題を把握し、適切な対策を講じるにあたって、特に中小企業などでは安全衛生に関する専門家を自社で配置することがむずかしいケースも少なくありません。
また大企業においても、日々新しい技術が生まれて情報が更新される現代こそ、外部の専門家の助言を受けたいといった要望もあります。
こうした企業の要望をかなえ、事業所によって異なる課題解決の力になるのが労働安全・労働衛生コンサルタントです。


労働安全・労働衛生コンサルタントの業務

労働安全コンサルタントは、生産ラインや作業工程といった各種現場などの安全管理に比重を置く専門家です。
試験区分は機械、電気、化学、土木、建築の区分がありますが、合格後はいずれの分野の業務も担うことができます。
労働衛生コンサルタントは、医師や薬剤師、保健師などにも受験資格があるように、保健・衛生の観点から安全・衛生管理に比重を置く専門家です。
健康管理、労働衛生工学の区分がありますが、いずれの分野の業務も担うことができます。

では、労働安全・労働衛生コンサルタントの導入事例を紹介しましょう。
食品製造業を営むA社の工場では、やけどや挟まれ事故、転倒といった事故が頻発していました。
厚生労働大臣により『安全管理特別指導事業場』に指定されたことから、労働安全コンサルタントと契約を結び、安全・衛生などに関するアセスメントや改善指導を受けることにしました。
コンサルタントは工場の課題を、機械設備、管理体制、教育に分けて整理し、それぞれに改善対策および実施計画を作成しました。
機械設備に関しては約100項目のリスクを洗い出し、危険性の高い設備に囲いを設置する、床面の滑り止めを行うなどの措置を講じました。
さらに、安全管理の規定の見直し、教育なども実施。
その結果、工場での事故は激減、最終的には無事故運営ができるまでに改善されたのです。

このように、労働安全・労働衛生コンサルタントを活用する第一のメリットは、新しい情報や知識を踏まえた、問題点検証・改善策立案・実行計画の策定・運用サポートなどを専門家から受けられることです。
日々の業務に追われがちな企業にとって、専門的知識を要するアセスメントや改善計画立案を外部の専門家に託せることは、大きな助けになるでしょう。

第二のメリットは、このような専門家を自社で抱えるよりも、コストが低く抑えられる点です。
上記の例でもわかるように労働安全衛生法では、重大な労働災害が発生したり労働災害が頻発する事業所などに対して、厚生労働省令に基づき再発防止策の作成や再発防止計画の改善が必要であり、専門家の助言が必要であると厚生労働大臣が認めた場合に、労働安全・労働衛生コンサルタントなどの助言を受けることを推奨しています。
つまり、必要なときだけ依頼することができるのも、メリットの一つなのです。

労働安全・労働衛生コンサルタントと混合しがちな職種として、『安全管理者』『衛生管理者』があります。
安全管理者および衛生管理者は、労働安全衛生法によって従業員数に応じて事業所への配置が義務づけられています。
原則として一事業場に専任となり、基本的に他事業所との兼任はできません。
一方、労働安全・労働衛生コンサルタントの配置は義務ではなく任意とされている点が異なります。

働く人を取り巻く環境は、近年大きな変貌を遂げており、健康経営への注目が集まっていることと合わせて、職場の安全管理や衛生管理はますます重要になっています。
事業の継続や人材の確保という観点からも、従業員の安全と衛生的な環境を確保し、働きやすい職場を構築し続けるために、労働安全・労働衛生コンサルタントなどの活用を前向きに検討してはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2023年4月現在の法令・情報等に基づいています。