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中小企業の会計ルール『中小会計要領』と『中小会計指針』

23.02.20
ビジネス【税務・会計】
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すべての企業は毎年の事業年度末に、決算書を作成する必要があります。
決算書は確定申告の際に必要になるのはもちろん、企業の経営実態の把握にも役立ちます。
しかし、前年度以前と今年度の財務状況を比較するためには、毎年、一定のルールに基づいて決算書が作成されていなければいけません。
そのための会計ルールとして、『中小会計要領』と『中小会計指針』があり、多くの中小企業はこのどちらかを参考にして会計処理を行っています。
2つの会計ルールの違いや、特徴について確認していきましょう。
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中小企業向けの会計ルールがつくられた理由

総務省と経済産業省によると、日本には令和3年6月時点で約367万の企業が存在します。
このうちの99%以上が非上場の中小企業です。
非上場の中小企業と上場している大企業では、主となる会計業務の内容も異なります。
たとえば、大企業の会計業務は、株主などの外部に対して財政状態を明らかにする『財務会計』が重要視されます。
一方、外部に株式を公開していない中小企業の会計業務は、納税のための『税務会計』がメインになります。

納税が中心になる非上場の中小企業にとって、大企業の会計ルールのなかには不要な項目も多く、使い勝手の悪いものでした。
そこで平成17年8月に、日本税理士会連合会、日本公認会計士協会、日本商工会議所、企業会計基準委員会の4団体が国と協力して、中小企業でも扱いやすい『中小企業の会計に関する指針』、いわゆる『中小会計指針』を策定しました。

さらに平成24年2月には、中小企業庁や金融庁などの協力を得て、中小企業関係者らが主体となって設置された『中小企業の会計に関する検討会』が、『中小企業の会計に関する基本要領』、いわゆる『中小会計要領』を策定しました。
この中小会計指針と中小会計要領は、中小企業のための会計ルールを定めたもので、どちらも中小企業が扱いやすい簡便な会計処理の方法が記されています。


中小会計指針と中小会計要領の違いは?

中小会計指針と中小会計要領の違いは、会計処理時の簡便性にあります。
先に誕生した中小会計指針は、会計専門家などの会計参与を設置している中規模以上の企業を対象にしており、会計ルールの項目は18項目に及びます。
一方、中小会計要領の項目は14項目と、小規模の企業を対象に作成されました。

たとえば、中小会計指針の項目のなかには、帳簿上の税金と納税した税金の差異を調整するための税効果会計や、合併や会社分割の際に必要な組織再編の会計が含まれていますが、会計処理をより簡単にするため中小会計要領には含まれていません。
また、中小会計指針は、世界共通の会計基準である『国際会計基準』に対応した大企業向けの企業会計基準に基づいていますが、中小会計要領は国際会計基準への対応は考えていないという違いもあります。
中小会計要領は、より簡便な会計処理を行う小規模な企業を対象につくられているので、経理を担当する人員が少なく、高度な会計処理を必要としない企業に向いています。

中小会計指針と中小会計要領は、どちらも企業の財務状況や経営実態を明確にし、今後の経営方針の策定に役立つだけでなく、使いやすいというメリットがあります。
会計ルールに沿って会計処理を行うことで、金融機関から融資が受けやすくなるという利点に加えて、日本政策金融公庫から金利軽減の優遇措置が受けられます。

独自の会計業務を行っているのであれば、さまざまなメリットのある中小会計指針、または中小会計要領の採用を検討してみましょう。

中小会計指針は、さらなる使いやすさ向上のために改正が繰り返されています。
日本税理士会連合会などのサイトを確認しておきましょう。
一方、中小会計要領は、中小企業庁のホームページから入手することができます。
自社の会計にどちらが参考になるか、再度検討してみてもよいかもしれません。


※本記事の記載内容は、2023年2月現在の法令・情報等に基づいています。