生きがいラボ株式会社

誤情報はNG! 医療関係者のSNS発信をめぐる現状について

21.11.01
業種別【医業】
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昨今のコロナ禍では、ワクチンに関する迷信的な情報やデマなどが、SNSを通じて拡散されてしまうケースが多々見受けられます。
それらの投稿が、一般市民のみならず、専門家である医療従事者からも発信されていることが、最近になって問題視されるようになりました。
影響力のある専門家が誤情報を発信することは、社会にとって大きなマイナスであるとともに、経営者にとってもリスクになります。
今回は、医療従事者による誤情報の拡散の現状や、対処法について説明します。
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取締まりが厳しくなってきた昨今のSNS

近年、多くの医療従事者がTwitterやFacebook、YouTubeなどのSNSを利用し、さまざまな医療情報の発信を行うようになりました。
多くは市民に有益なものですが、科学的根拠が乏しい主張が混じっていることがあるのも事実です。
医療従事者の発信する医療情報は、その信頼性から特に注目を集めるため、社会的な影響は計り知れません。
コロナ禍においては特にそうで、結果的に、アカウントや勤務先の病院が炎上するリスクすらあるのです。

医療従事者による誤情報の拡散は、日本だけではなく、世界中で問題視されています。

アメリカのニュース専門放送局・CNBCでは、医療資格を持つ人だけのSNS『Doximity』で発信されている新型コロナウイルスやワクチンに関する投稿のなかに、陰謀論や事実に反する主張が数多く含まれていたと報告しました。

Doximityの利用者はアメリカ国内の医療従事者に限られ、本人確認を行ったのち、ほとんどの人が本名で投稿をするシステムです。
それにも関わらず、子どもにマスクを着用させることについて「児童虐待だ」とする書き込みや、ワクチンを陰謀論にからめる書き込みなど、無責任な発信があまりにも多く、SNSを提供しているプラットフォーム側の削除が追いつかない状況になっているそうです。
専門家であろうと、思想や信条においては、必ずしも科学的であるとはいえないのです。

一方、こうした根拠のないデマや誤情報を拡散させないために、プラットフォーム側も動き出しています。

Twitter社は、全世界共通のルールとして、誤情報や不安を煽る投稿について、ラベルを追加したり、警告を表示したりすると発表しました。
さらに、2021年3月からは、アカウントの永久凍結などさらに厳しい対策を講じることも決まりました。
これらの処置は、誤情報やデマのほか、議論の余地があり正否のはっきりとしていない情報についての投稿にも適用されます。

日本でも、Twitterで誤情報を発信した医師が警告を受け、最終的にはアカウントを凍結される事態が発生しました。
この医師は、10万人近くのフォロワーを抱えていました。

また、YouTubeを運営するGoogle社も、現在、ワクチンに反対する情報の投稿を禁止しており、違反があれば動画を削除することを明示しています。


公共機関の発信内容を見比べることも大切

医療情報にまつわる誤情報やデマには、センセーショナルなものも多く、正確な情報よりも拡散されやすい傾向にあります
また、情報源を信じ込み、「世間に知らせなければ」という使命感から拡散してしまう、拡散者の存在もあります。
情報源となる発信者も、拡散者も、自身の発信・拡散する情報が誤りだと思ってはおらず、正しいことだと認識していることが、問題を複雑にしています。

新型のウイルスに関しては、たとえ医療従事者であっても、専門的な知識を有していない者が情報の正誤を見極めるのは難しく、また、情報は常に更新されていくため、医師の把握している情報が必ず適正であるとは限りません
もし、医療従事者がコロナなどに関する医療情報をSNSで発信するのであれば、必ず公的機関が出している一次情報を根拠とし、信頼性の担保という意味でも、引用元を明確にする必要があります。

また、一次情報がない不確かな情報や、あまり確信が持てない情報は、発信を控えることも大切です。

医療の現場においては医師によって考え方や方針が異なるため、同じ病気や疾患を扱っていても、発信する情報がまったく異なることも少なくありません。
特にコロナ禍においては、医療関係者同士で主張が対立することもあります。
そうしたやりとりを市民の前ですることが、果たしてよいことなのか、SNSのアカウントを持っている医療従事者には、特別に考えてもらう機会を設けるのもよいでしょう。

いずれにせよ正しい情報を発信することが、その医療従事者や、ひいては病院全体にとって大切なことであるのを忘れてはいけません。


※本記事の記載内容は、2021年11月現在の法令・情報等に基づいています。